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今さっきよりも近くに雷が落ちたっていうのに鐘の話をするロビンとゲリラを止めるように騒ぐウソップの声は2人には届いてない。それか無視されてるのかもしれない。

「それをエネルは狙ってるのか……!?なぜわかる……どこにあるんだ……」
「おい待てよ、そんな事言ってる場合か早く逃げよう死んじまうよ!」
「この大きな蔓の……頂上付近……」
「先に船で待ってるってナミにも約束したろ!!あいつもすぐにルフィを連れて来んだからよ!」

「あの下層にあるシャンドラの遺跡……都市の中心部を大地ごとこの蔓が貫いてる。だけど大鐘楼もその中心部に位置したと遺跡の地図に記されていたわ。つまり鐘は蔓に突き上げられた衝撃で更に上空に飛ばされたと考えられる」
「ワイパー!駄目だよ!今登ったって!空を飛んでるエネルには追いつけないよ!!」
「蔓から離れろ!何か落ちて来る!」

空から何か落ちてきてサンジくんを抱えて離れても衝撃に背中を押されてバランスを崩して上手く受け身がとれなくて顔を擦りむいた。抱えてるサンジくんは未だに目を瞑ったまま動かない。

「……蔓の、先端……!上で何が……」
「お!お!おいまさかルフィ達の死体も一緒に落ちて来てやしねェか!?」

ウソップのマイナス思考は感心できるほど働くなあ。もしこの蔓に押しつぶされてもルフィなら死にそうにないのに。もちろんナミは別としてね!

「ワイパー!ほら!そんな体じゃ無理だよ!」
「……この真上にあるんだ……。大戦士カルガラの切望の鐘が……」
「あ……」

空の黒い塊が落ちてきた。私達のところじゃないけど少し離れたとこの、コニス達の住んでる島かな……?ものすごい音を立ててあの島だけを抉るようにぽっかり穴をあけた。

「何だ今の爆発は……!しかもまた雷の雨は続くのか……!もう、生きて帰れる気がしねェよ!」
「エンジェル島を……消しおったのか…!?……何という!何という……非道を!……エネル!!」

頭を抱えて膝をついてうな垂れるお爺さんを後ろから見つめる。今度は大きい葉っぱが落ちてきた。あたし達に見える面に蔓を西に切り倒せっていう短い文と方角を示すものが刻まれてた。ナミの事だからここに落ちてくる事までを考えただろうから、葉っぱに書いてある通りの方向に倒せばよさそう。

「そうすればどうなるんだ……!うわっ!見ろあれ!」

空に敏感になったウソップがまたあたし達を見上げさせた。そこにはさっきと同じ黒い塊があって、でも大きさはさっきのより何倍も大きいものだった。

「さっきのより……数倍でけェ……。……もう逃げられねェんだ……!この国からは……!」
「とにかく言われた通りに切るぞ!」
「だけどよ切ったところであいつらどうすんだ!」

あの黒い塊をみて焦りを隠せないウソップに何かを考えるように空を見上げたゾロ。

「……蔓からあのエネルの舟まではだいぶ距離がある。この蔓はてっぺんが見えないくらいデカい。この方角が正確なら西はあの舟のある方向だ。あの舟に向かってこの蔓を倒しゃ渡って舟まで移れるだろ」
「倒れかけた蔓を渡って舟まで飛ぶ〜!?」
「それ以外考えられねェだろ!!」
「そんなムチャクチャな……!」

変わらず騒ぎ立てるウソップにいつも通りに返してるゾロも少し息が荒くなってる。

「ルフィもナミも意外と雑だからね」
「……どうあれ無茶でも何でもやって貰うしかねェだろうがよ」

あたし達の声を聞いたのかエネルがあたし達をめがけて落ちてきた雷をどうにか避ける。

「地面のある場所へ!!ここじゃ遺跡につき落とされる!!」

ちょっと走ったとこにあった地面に避難して蔓に向かってくゾロを見送った。2本のうち一本を切れば倒れるんた。それくらいゾロにできる。

「とにかくやるぞ。舟の方に蔓を倒しゃいいんだな。アレを落とされる前にエネルの居場所へ辿りつけるのは今この空島であいつらしかいねェんだ!!」