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「だ、大丈夫かあいつ!頼むぞ!そんなもんブッた切れんのはお前しかしねェんだ!!」

蔓に向かって走って行くゾロの行く手を阻むように何本もの雷が落ちてくるのを何とか避けてく。なんとかたどり着いたゾロはここからじゃ目を逸らしたら見失いそうなくらい小さいけど、刀をふた振りして蔓を大きく切り落とした。バランスを崩して宙に浮かんで身動きのとれないゾロを見逃さないように雷はゾロめがけておちた。

「うおお!ゾロ!!畜生ォーっ!で……で、でも斬った!斬ってくれたぞ!!」
「……そんな、見て!」
「……!た、倒れねェ!」

あんなに切り落としたのに揺れ動く事もなく変わらず蔓は空に向かって伸びてる。次を考えているとこの雲の下で大きい蛇が涙を流して暴れて蔓に頭から突っ込んだ。どうして泣いてたんだろう?

「え!?何だ下からスゲー衝撃が!蔓が……」
「だめだわ!少し傾いたけど……倒れない!今ほどの衝撃でも……」

少しだけ揺れた蔓は少しだけ傾いてまた止まってしまった。そこでまたゲリラが止めようとする女の子の声も聞かずに動き出した。

「あの鐘は……カルガラの遺志を継ぐおれ達が鳴らしてこそ意味がある……!あの麦わらに何の関係があるんだ!!」
「放っとけロビン。あんな重傷マンに阻止されるもんか。あの蔓を倒すのが先だ!上でルフィ達が待ってる!ゾロが半分斬ってくれてるし全体は傾きかけてんだ!おれ様の火薬星の舞を炸裂させる事でやつは大きな悲鳴と共になぎ倒されるのだ!!やはりこの海賊団……おれ様こそが砦なのだ!!」

さっきまでびくびくに怯えてたウソップがゾロと同じように落ちてくる雷をすれすれのところで避けながら蔓に向かって走ってた。

「待っ……」
「400年前……青海である探検家が黄金郷を見たとウソをついた。世間は笑ったけれど彼の子孫達は彼の言葉を信じ今でもずっと青海で黄金郷を探し続けてる。黄金の鐘を鳴らせば黄金郷が空にあったと彼らに伝えられる。麦わらのあのコはそう考えてる、素敵な理由じゃない?……ロマンスがあって。……こんな状況なのにね……脱出のチャンスを棒に振ってまで……。どうかしてるわ」

ロビンの話す事は難しくてわかりにくいけど、話に出てきた麦わらはルフィの事だってことは理解できた。

「……そいつの、その……子孫の名は?」
「……モンブラン・クリケット……」
「ならば400年前の……!先祖の名はノーランドか」

ロビンの話を聞いたゲリラは涙を流してたのが見えたらゲリラも走って蔓に向かっていった。

排撃リジェクト!!!」
「んな……!なんじゃありゃあ!!」

ゲリラがうった衝撃は蔓を引き裂くようにして穴をあけた。リジェクトってお爺さんが言ってた絶滅種の貝で、インパクトの何倍もある威力だって言ってた。使えはその人を死に追いこむって。力なく雲に落ちてったゲリラの名前を声が届くように呼ぶ女の子。

「倒れるぞォーー!!!」

ゲリラの一発のおかげで少しずつ傾き始めた。これで上にいるナミとルフィ上手くやってくれるかな。でもやり遂げたあたし達のいるアッパーヤードにいくつもよ雷が落ち始める。

「遺跡がむき出しに⋯⋯!」
「地盤を砕くつもりである!」
「ワイパーが倒れてるんだよ!」
「ゾロもだ畜生!」
「ゾロが!行かなきゃ!」
「待って風使いさん!あなたも傷だらけで思うように動けないのよ。行ったらだめっ」

声を荒げて言うロビンに腕を掴まれただけなのに身動きがとれなくなる。わかってるけど、もしこれでゾロが下に落ちちゃったら……。

「ムダだ、エネル……。お前には落とせやしない。……シャンドラの地に生きた誇り高い……戦士達の歴史を……!どこにあろうと力強く!生み出し……育む!この雄大な力を!!お前には落とせやしない!お前がどれだけの森を燃やそうと!どれだけの遺跡を破壊しようと!!」
「逃げてワイパー!死んじゃうよー!」
「大地は敗けない!!」

立ち上がったゲリラは蔓の方を向いて立ち尽くす。逃げる気はないみたい。
あたし達がいる方に倒れ始めた蔓から逃げるように場所を変えると空の上にあった黒い塊が弾けるように一瞬で空から消えたおかけで太陽の光が届くようになった。

「黒い塊が消えた!」
「うおおおーーっ!!ルフィうおおーっ!!」
「鳴らせェ麦わらァ!!シャンドラの灯を!!」
「聞かせてくれ小僧……!島の歌声を!!」
「ルフィ……」


黒い雲が晴れたおかげで見えた青い空とエネルと戦うルフィを見上げていると小さく腕の中のサンジくんが動いてと太陽の光のせいか体のだるさのせいかまゆ毛を潜めて目をあけてた。

「う……」
「サンジくん」
「リリナちゃん……ああなんていい目覚めだ。愛しのリリナちゃんの腕の中でこんなに、いい鐘の音が聞けるなんてよ……」
「ほんとに、綺麗だね」

さっきまではどんなに騒いでも動かなかったサンジくんが今は目をあけてあたしを見て笑ってくれてる。それが何だか不思議に思えてきて、緊張で縮こまってた体の力が抜けた代わりにサンジくんの肩を支える手に力がこもった。もう、大丈夫なんだね。