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「みて!海が見えてきた!」
「お、ほんとだ!」
「こっちが空みたいだね。空に戻ってきたみたい」
「何だよそれ」

真っ青な海をみているとあれが空で空に向かって降りてるみたい。だってどこ見渡しても島も生き物も見当たらないんだもん。それにまだ雲が下にあるから余計にさ。ゾロには分かってもらえなかったけど。

ゆっくり落ちていく中、まだ潮の匂いがしない風に優雅にあたってるといきなり船を掴んでたはずのタコの足が……無くなって、内臓が置いていかれて散々味わってきたまたあの恐怖に陥った。

「ああああああああああ!!!」

何メートルからかも予想できないぐらいところから一気に落下していく。今度は目ん玉飛び出ないけど何回体験しても怖いものは怖い。手すりにしがみついていると船が海面に叩きつけられたみたいで大きい水しぶきがあがった音と一緒に上から海水をかぶった。

「ぐあーっ!」
「冷てェーーっ!」

すごい量の水をかぶって痛いし苦しいしで荒くなった息を整えてると久しぶりに波に揺れる感覚に気付いて戻ってきたことを体感した。

「海が……青い」
「全員無事か?」
「……しかし……すげーとこに行ってたんだな」

サンジくんが咥えた煙草の煙があがっていく上を見上げると空島にいく前までずっと見てた空が広がってた。

「落ちてみると……また遠い場所ね」
「夢でも見てたみたい……」

あんなにしっかりした島があるのにここからじゃ見えないならあるかないか、疑われたってしょうがないな。

「野郎共ー!!帆をはれーー!!行くぞ次の島ー!!」
「おいちょっと待てよルフィ。少しは休ませろ!」

あたしも叫びすぎて疲れた、精神的に。また戻ってこられたのはいいけどもう少しまったりこの安心感を味わいたいのに。

「甘い甘いっ!そんな事言ってられる海なら誰も苦労しないでしょ!?波が少し変なの。さァみんな動いて!とり舵!」
「ほら来た」

気の乗らないせいで重かった体は船尾の方向から迫る大波を見たら軽々と持ち上がった。空の海にはこんな波なかった!のまれる!

「大波だー!!」
「しかも何かいる!波の中に!」
「シーモンキーだ!」


あの大波をなんとかしのいで波が落ち着いて来た頃、ナミが空から持ってきたウェイバーをルフィがこの海なら乗れるかもって試しに乗ってみたけど、やっぱり乗れないみたいであの時と同じように大転倒した。何回転もしててすごかった。あたしも挑戦してみたけどだめだったし溺れるしやらなきゃよかったって後悔した。



「さて、お待ちかねっ!海賊のお宝は山分けと決まってるわ!これだけの黄金だものすごい額よ!」

キッチンに散らばってた黄金をかき集めてテーブルに集めると金の山ができた。ナミの言う冗談じゃない冗談も入ったけどその後にナミが船を直そうって提案をしてきた。

「船を?このメリー号をか?」
「そうよ。もうボロボロじゃない」
「そりゃいい!ゴーイングメリー号大修繕!!大賛成だ!」

手を叩いて賛成の意を示す。そっか部屋の中はそうでもないけど外からみるとつぎはぎだらけだもんね。きれいに直してもらってまた再出発しよう!

「じゃ、それにいくらかかるかわかんないから宝の山分けは保留ね」

そこでサンジくんの作ったサンドイッチと紅茶が出てきた。紅茶を一口飲んでからサンドイッチを口に運ぶとからっぽに近いお腹にどんどん入ってきた。

「そうだな、ウソップのツギハギ修理もさすがに限界だし」
「言っとくがなおれは!狙撃手だ!」
「ああ、本格的に造船ドックに入れて本職の船大工に修繕して貰った方がいい……」
「へー!ウソップより直すのうまい奴がいるのか」
「考えてみりゃ東の海イーストブルーのおれの村からずっとおれ達を乗せて航海してくれてたんだ。たまにゃあしっかり労ってやんねェとバチあたるってもんだぞ」
「だったらよ」

みんなが口々にメリーが直った後の事を考えながら話しているとルフィが音を立てて立ち上がってみんなの注目を集めた。

「船大工仲間に入れよう!!旅はまだまだ続くんだ、どうせ必要な能力だし。メリーはおれ達の家で!命だぞ!この船を守ってくれる船大工を探そう!」

その言葉にちょっとの沈黙とルフィの言った言葉にしみじみと納得させられてからまた盛り上がる。

「そりゃそれが一番だ!そうしよう!」
「いー奴が見つかるといいなー!」
「あと音楽家とな!」
「いや、それはおいとけ」