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「まさか……!」
「あーあー受けやがった」
「望むところだ」
「面白そうね」
「こうなるとは思ってた」
「ゲームを受諾したーーァ!!」

銃声が2回連続で聞こえたとき、一瞬静かになってすぐあっちのクルー達が盛り上がりはじめて一気に騒がしくなった。あれよあれよという間に島にはたくさんの華やかな出店や装飾品、舞台が立てられて賑やかになった。

すぐにいい匂いが漂ってきて、空腹には勝てなくてフランクフルトと焼きそばを2つ、あと飲みものをルフィと一緒に買った。空腹状態のお腹に次々と運ばれるフランクフルトと焼きそば。



ドーナツレース3人、グロッキーリング3人、コンバット1人合計7人の出場する人を決める。私達は8人だから1人だけ見学することになる。その1人があたしにならないようにすぐ名乗りあげたのに、コンバットは主力の3人で取り合いになって頑固に食い下がるルフィにゾロとサンジくんが譲ってルフィに決まった。しょうがないからってグロッキーリングに流れてきたゾロとサンジくんの次に手をあげると危ないからダメだっていうサンジと、好きなようにやらせてやれよって言ってくれたゾロがいつものように睨み合う中、一番危なくなさそうなレースに出るというナミとウソップと、楽しそうだからってレースを希望したロビンの3人で決まって、言い合いになりながらもあっという間に埋まっていって残ったのはグロッキーリングの1枠。

そして残ったのはあたしとチョッパー。自然と残ったもの同士目が合った。何か言いたそうだったけど小さいチョッパーの体を両手で少し乱暴に抱きあげて前後に揺さぶった。

「あたしが出る!出させてチョッパー!お願いお願いお願い……!!」
「うおあああ、ううんいいよ分かったよ、おれ見てるからリリナ頑張るんだぞおおう」
「やった!ありがとう!」

冷静に考えれば強引だったけどチョッパーに譲ってもらってグロッキーリングに出られる事になった。サンジくんにはまだダメだって言われたけどみんなの説得のおかげで渋々だったけど許してもらえたよ。ありがとう、サンジくん。


出場者の名簿を向こうに提出した代わりに空樽とオールをもらってきた。これだけでボートを作るらしい。ボートを作る作業はメリーの修理をやっていたウソップにやってもらったんだけど、そしたら頼りなさそうなボートができあがって密かにレースに出なくて良かったって思っちゃったくらい。

「これ沈まない?」
「だからおれは船大工じゃねェんだよ!」
「きっと沈むわ」

頼りないボートに乗ったロビンとナミも不満の声を漏らしながらスタート地点に立った。

「ちょっとサメって……!魚じゃない!」
「いやん!魚がダメだというルールはないわ!」
「勝てよー!お前らー!!」
「がーんばれー!!」

人数が多い分向こう側の声援がたくさんだけど、あたし達だって負けじと向こうの鼻の高いお姉さんと火花を散らすナミに声援を送る。

「ここで一発ルール説明!この海に浮かぶロングリングロングランドを一周せよ!以上っ!なお、ピストル大砲爆薬カトラス凶器はなんでもOKだァ!卑怯だ何だと抜かした奴ァ一海賊の恥と知れ!!」
「レースになるのか?」
「おうコラウソップ!レディ達に何かあったらてめェオロすぞ!!」
「負けんなーー!!ウソップナミロビンー!!」
「きっと大丈夫だよー!みんなならやれるよー!!」
「わくわくしてきたぞ……!」

始まりが近くなると会場の賑わっていって、それにつられるようにワクワクも大きくなる。


「位置について!レディーーイ、ドーーナツ!!」