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始まりの合図として放たれたピストルと同時に向こうの奴らが大砲やら銃を一斉射撃したせいでできた波が、ナミさん達の乗るボートを襲った。ひっくり返って海に沈みそうなったときにボートとナミさん達ががくるりと回転して静かに水面に着地した。畳み掛けるように今度はどこから持ち出してきたのかってぐらいデカい岩がボート目掛けて落とされた。

「ナミさん達に何しとんじゃコラァ!!」

オールを一心不乱に漕いでなんとか回避したナミさんとロビンちゃんに安堵して、レディ達を危険な目に遭わせたクソ野郎共を蹴散らしてやった。

「にゃろうが!頭蓋骨粉砕するぞクソ共!!」

相手ボートからの妨害にもなんとか持ちこたえて頼りないウソップを置いてあの魚人野郎とサメを伸したロビンちゃんに届くように声援を送る。さっすがおれの船のレディ達だ。


ナミさん達の姿が見えなくなって、実況だけを頼りにレディ達の無事を確認していると向こうの船のレディ達に声をかけられた。セクシーなレディ達に首に腕を回されて密着状態になり、こんなとこで思ってもみなかった積極的な待遇と誘い文句にやられて夢のような気分に浸った。いやァこんなレディ達に囲まれてたらおれどうにかなっちまうなあァおほほ!

「あなたみたいなコックさんがウチに来てほしいわ」
「いやーーデービーバックされちゃおうかなーー」
「サンジくん……!」
「っリリナちゃん!」

夢のようなハーレム状態に現を抜かしていると、今までの甘い囁きのような声と違う低い声で名前を呼ばれた。声の先を見てみると影と黒いオーラを纏って睨みを効かせたリリナちゃんと目があって背筋が凍って直立状態になった。普段と違うただならぬリリナちゃんの雰囲気に冷や汗を垂らすとその後ろにのびた状態のルフィとゾロがいた。脇にはガタガタ震えているチョッパーが抱えられているのが目に入って、おれの後ろ髪を引くレディ達の腕をすり抜けて前を歩くリリナちゃん後を追った。……ただただ怖かった。

「もうっ、3人が頑張ってるのにみんなして誘惑にやられるなんて!しっかり応援するの!!」
「はい……」

素直に返事をするおれ達。普段はこんな事しねェから余計に堪えたな。おれは何もなかったがルフィとゾロの奴はきっと素直に従わなかったんだろう、所々に擦り傷が見える。リリナちゃんが何をしたのか分からねェが怒った彼女には逆らわない方が良さそうだ。きっとナミさんに影響されたんだ、きっとそうだ……。