008

外で遊んでいたリリナちゃん達が家の中に入ってくると、ここまでの道を案内をしてくれたドルトンがこの島の話をしてくれた。

島にいくつかある山の名前はドラムロッキーというらしい。島の中央にある一番高い山の頂上に城があって、そこにこの国唯一のドクターがいること。そのドクターは140近い変わり者のマダムで、月夜の晩にソリに乗って空を駆け降りてくるという噂が立っているらしい。下山すんのもそのマダムの気まぐれで次に山に降りてくる日を待つしかないということだ。

ドルトンの話を聞いたルフィがベッドに寝ているナミさんのとこに歩み寄ったかと思えば、ナミさんの頬を叩いて無理やり起こした。そして山を登るとか言い出しやがったから、ビビちゃんととにかく猛反対をした。でもおれ達が何言ってもルフィは折れなくてそんな言い合いをしているうちに、ナミさんが賛成しちまったもんだからおれも行くことにした。こいつ一人になんて任せてられねェからな。

「え!サンジくんも一緒に行くの?ならあたしも行く!」

驚いた。こんなとこでついてくるなんて言うとは思わなかった。まァルフィもいるし、納得できるっちゃできるが。

「リリナちゃんはダメだ。危ねェし、さみーし、なにが起こるかわからねェ」
「サンジくんだって危ないでしょ」
「おれは大丈夫さ。ちゃんとリリナちゃんのとこに戻ってくる」
「ほんとに?」
「おれは約束は破らねェよ」

そう言うと少し何かを考えたのか下を向いたが、すぐに顔をあげて気をつけてねなんて言ってくれた。こりゃ参ったな。やられた。いい子で待っていてくれよ。

「本気なら止めるつもりはないが、せめて反対側の山から登るといい。ここからのコースにはラパーンがいる」

そんなものに怯えて最短距離を逃すなんてことは出来ない。肉食だろうが集団だろうが、おれの邪魔する奴は蹴ってソテーにしてやる気合を込めて家の外へ出た。

「じゃ、行くかサンジ!ナミが死ぬ前に!」
「縁起でもねェこと言うんじゃねェ!このクソ野郎!」

出発したばっかで何言いやがるんだこいつは。おれがついていながらナミさんを死なせるなんてことは万が一でもあり得ないんだよ。

「とっとと山登って医者に診てもらって帰ろうぜ」
「ああ!」

あ、そういやそうだ、さっきの約束はリリナちゃんと初めての約束か。んじゃあこれを守っておれはやれる男だって思わせるしかねェな。なんせリリナちゃんはあんなに強ェんだもんな。しかし寒ィな。帰ったらリリナちゃんに温めてもらおうかなあ〜ん!リリナちゃんあんなに寒がりだもんなあおれも温まるし一石二鳥だ。よし、そうしよう。待っててくれよ愛しのクソ可愛い天使ちゃん!