082

最初から反撃できなくて攻められてやられっぱなしのゾロとサンジくんをフォローしながら最後の最後にチームプレーをした2人は豪快にあの大きい巨人をゴールに叩きこんであたし達が勝った。終わった後にナミに情けないって言われてたけど、勝ちを決めたのは2人だから許してもらおう。


あたし達が勝って敵チームの中から1人こっちに呼べるからもちろんチョッパーだと思ってたんだけど……。

「三回戦は一対一の決闘よね。出場選手はルフィとオヤビンだけ。じゃあ今オヤビンを取っちゃえば三回戦は不戦勝になって、もうこれ以上戦う事もなくチョッパーを取り戻せるじゃない?」
「ピ、ピーナッツ戦法だーー!!」

ずる賢いナミの提案になるほど、ってみんなで納得して頷いていると周りのぎゃらりーが卑怯だなんだって騒ぎ立てるのをいつもの一喝でナミが沈めた。

「ねェ航海士さん。あなたの提案確かにここで決着をつけられるけど同時にオヤビンが仲間になっちゃうわよ」
「え」
「やだ」
「あれはいらねえ」

みんなで肝心な事をすっかり忘れていたのをロビンが思い出させてくれて、みんな口を揃えて否定した。あんな割れ頭はいらないもんね。

というわけで奪われたチョッパーを取り戻して取り引き終了。鼻の高いお姉さんの腕から抜けてきたチョッパーは猛ダッシュでルフィに飛びこんでった。涙も鼻水も全部お構いなしに喜んでるチョッパーにこっちも安心する。これで次のあと一回戦勝てばヒヤヒヤしなくて済むね。

「ホイホイホイ、いいかお前ら!三回戦のコンバット。おれに勝つことは不可能だと言っておく!最終戦で取られたクルーはもう取り返せねェ。誰が取られてもいいように、身支度を整えておけよ……!」
「何をー!?おれがお前に敗けるかァ!」
「……フェッフェッ。……ケンカとゲームは、違うんだぜ」

意味あり気な言い方をして自分のクルー達のとこに帰っていった割れ頭にみんなで返す言葉が見つからずにそのまま見送った。絶対あのノロノロビーム使ってくるだろうから何か対策でも浮かべばいいんだけど、あたしには考えられなかった。


コンバット用のフィールドが出来る間に帰ってきたチョッパーに傷を負ったサンジくんとゾロが手当てを受けてる傍でその光景を見守った。あたし達が負けるなんて思ってなかったけど、こうやって帰ってきたチョッパーを見てるとすごく安心する。ほんとによかった。

「ありがとうな。三人共かっこよかったぞー!あんーなデッケー奴ら投げたり蹴ったり吹き飛ばしたり!」
「まあひとえにおれのお陰だけどな」

また始まりそうになる喧嘩をナミが間に入って止めてくれた。でもさ口には出さないけど、2人してあたしの活躍忘れてるでしょ。あなた達ただいいとこ取ってっただけなんだよ?あたしがフォローしてなかったら今ごろけちょんけちょんにやられてたと思うの。まあいいけどね。あたしの役目は守りだったもん。


第三回戦は向こうの船を改造してできた観覧席で応援する事になった。見晴らしのいい観覧席でルフィの登場を待っていると船首のところにアフロを被ったルフィが出てきて、アフロのおかげでいつもより威勢と迫力が増してる気がする。

始まった試合はあのアフロだけで倒せそうだって最初思ってたけどそう簡単にはいかなくて、最初っから何回も何回もあのビームを使ってくるからルフィから反撃する事ができてない。これじゃさっきのゲームと同じになっちゃう。そんな心配してるうちにルフィがだんだん押し始めてきたところで船内に落ちてった。

船の中に入ってったルフィと割れ頭は中でも攻防を繰り返してルフィが押し押されながら爆発と一緒に甲板に出てきた。爆煙が晴れて見えたのは両手を掲げる割れ頭と倒れてるルフィ。あの爆発を受けてボロボロで黒こげなルフィにノロノロビームを応用した技でラッシュをかけるように攻めたてられて体が倒れても立ち上がるルフィに目頭が熱くなる。

「……おれの仲間は、誰一人……!死んでもやらん!!」

ボロボロな体で力強く叫んだルフィに立ち上がって声援を送ると右手を高くあげた姿に会場が湧きあがった。思ってもみなかった言葉に涙が溢れそうになるのをぐっと堪えて試合終了を待った

「"ゴムゴムの……!連接鎚矛フレイル"!!」

ルフィの一発が割れ頭の顔に命中したのに変化がなくて首を傾げたらゾロが9を数えた。それも理解できないでいたら隣のサンジくんが8って続けたからそれならって事で7!叫んだら会場中がカウントし始めた。ゼロになったのと一緒に割れ頭が甲板から空高く吹き飛んで海に落ちてった。