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あたし達も青キジも動かない張り詰めた状況が続く。動くのは青キジの口だけで、あたしとロビンは動かないんじゃなくて動けないって言ったほうが合ってる気がする。それにルフィ達も迂闊に手を出しちゃいけない相手だって気付いてるから、青キジの様子を伺ってるんだと思う。

「リリナ!ロビン!どうしたんだ!知ってんのか!?こいつの事!」
「……ニコ・ロビンとは昔、ちょっとなァ」

青キジの話は聞こえはするけど、読み取れるほど余裕なくて右から左に筒抜け状態。目が合っただけで腰が抜けそう。

「……あららら、まーまーそう殺気立つなよ兄ちゃん達……。別に指令をうけてきたんじゃねえんだ、天気がいいんでちょっと散歩がてら……」
「指令だと!?何の組織だ!」
「海兵よ。海軍本部、大将青キジ」
「大将!?」
「た、大将っておめェ……ど、どんだけ偉い奴だよ」
「海軍の中でも大将の肩書きを持つ将校はわずか3人……赤犬・青雉・黄猿、その上には海軍トップ、センゴク元帥が君臨するだけ。世界政府の最高戦力と呼ばれる3人の内の、一人がその男よ!」

出遅れてるみんなにロビンが詳しく教えてあげてるけど目は青キジを見たまま離れない。ロビンの話一つ一つに動揺して反応して身構えたみんなをよそにナミに声をかけてる青キジを見て、いつもみたいにツッコミを入れて青キジのペースに飲みこまれていくサンジくんとウソップ。話しているうちに疲れたからってあたし達の目の前で寝っ転がる青キジの態度に力んでいた体も少し緩み始めた。ほんとにあたし達をどうかするつもりはないのかも。

「そんでまあ早ェ話お前らをとっ捕まえる気はねェから安心しろ。アラバスタ事後消えたニコ・ロビンの消息を確認しに来ただけだ。予想通りお前達と一緒にいた。本部には報告くらいしようとおもう。賞金首が一人加わったら総合賞金額トータルバウンティが……変わってくるもんな。お前さんも合わせたら尚更な。1億と、6千万と、7千900万をたして……。……わからねェが、ま、ボチボチだ」
「しろよ計算」

気力がないのは相変わらずで、でもそうだとしてもいつどこでスイッチが入るか分からないのが青キジの少し怖いとこだってこと事はよく分かっているから、その雰囲気に飲まれないように無意識に脱力してた手を握り直した。


そんな青キジのおかげで仲間と離れ離れになっていたおじさんは凍らされた海を渡って先に行った仲間の後を追いかけて行った。海を凍らせたその能力を目の当たりにすると落ち着いてきてた心臓の動きがまた速くなった。

「……何だ」
「何というか……じいさんそっくりだな、モンキー・D・ルフィ。奔放というか……つかみ所がねェというか」
「じ、じいちゃん!?」
「……じいさん!?ルフィの!?」

あの人の事か。そうだ、そうだった一回だけ自分達の立場を忘れて緑のお茶とおせんべいを食べながらお話ししたとき、あたしと同じ年の孫がいるって言ってたな。あれルフィの事だったんだ。今更ながらそのときの事を思い出して、でも今はそんな事思い出してる場合じゃないって振りはらったのに結局元気にしてるかな、なんて呑気に考えちゃったりした。

「お前のじいさんにゃあ、おれも昔、世話になってね。おれがここへ来たのは、ニコ・ロビンと……お前を一目見る為だ。……やっぱお前ら、今死んどくか」

気が変わらないうちに早くいなくなれって思っていたのに、その思いも虚しく青キジは前言撤回して目つきを鋭くさせると、能力も使ってないのに周りが凍ったようにさっきよりも強く緊迫した雰囲気に包まれた。