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リリナちゃんが青キジに氷漬けにされて2日目、ルフィはその日のうちにロビンちゃんはその日の夜に目が覚めたのにリリナちゃんは今日やっと目が覚めた。

リリナちゃんは青キジの奴に果敢に立ち向かっていきながら何か覚悟を決めたような、そんな顔をしていた。海軍の大将ともなると力の差は歴然でリリナちゃんですら敵わなかった相手におれ達は手も足も出せなかった。リリナちゃんに助けられ、ルフィに守られた。2人共大事にならずに済んだが自分の非力さに歯を食いしばる事しかできねェなんて。覚悟はある。それなのに力が及ばずに何もできない事にクソ苛立つ。


マットの上で寝ているリリナちゃんの手を握れば氷付けにされていた頃よりは遥かに温かく、心地のいいものに戻ったがまだ油断はできねェってチョッパーも言ってたな。

「リリナは打たれ弱ェから……」

1人寝込むリリナちゃんをみんなで囲んでいたときにどこか得意気にウソップが言いやがった。お前よりおれの方がリリナちゃんの事知ってるぜって言われてるように聞こえてイラついたしレディは繊細だから野郎とは身体の作りが違ェんだよ。そんな事分かってるんだ。体が、追いつかねェ。

「……サンジくん」

名前を呼ばれたから目を覚ましたのかと思って離しそうになった手を握り直して顔を覗くと目をつむって小さな寝息を立てている。って事は寝言。つまり、今夢の中でおれと一緒にいるって事だ。んな事あっていいのか?やばい、ニヤける。同時に夢の中のおれ羨ましすぎる!何やってんだ?夢の中のおれとリリナちゃんは何やってんだ?まさかあんな事やこんな事してたりしねェよな!?くっそ出てこい!そんでおれと代われ!

……って、夢の中のおれに嫉妬したってどうしようもないだろ、何やってんだおれ。アホらしい。まァでもこれでおれも少しリリナちゃんの頭の中にいるって事だし、進歩っちゃ進歩だよな。だけど好きで好きでたまんねェってのに我慢するのも辛いんだぜ。そろそろ限界が近づいてきたかもしれねェな。