「ぎゃああああ!!出たああ!」
「うるせェ!耳元で騒ぐな!」
「な、なんだよそれお前!」
「これで周りを探索してきます」
「お、おう。説明は後だな。誰かいねェか見てきてくれ」
「はーい」
怖がるあたしを他所に、幽霊が部屋の壁をすり抜けて出ていったところでやっと安心して一息ついた。あんなの間近で見てしまったら当分一人じゃ寝られなくなるレベルだ。やるならやると一言言って欲しかった。
「見つけました〜、希望の光を〜……!城内さっきの人達は何故か誰もいなくてがらんとしてますが、パッパグさんが取り残されてるようで……」
帰ってきたブルックが状況を話している間、距離が近いのが嫌で少しでも離れようと体を小さくしてみた。ぎゅうぎゅう詰めな状態を今は恨むしかない。
「んで、お前そんなことできるようになったのか」
「いよいよ死人だな、やれることが……」
「いやー、そうなんです。ある日ちょっと祈ってたらね、ファ〜ッと抜けるんです霊魂。……ヨホホホ。壁をすり抜けてゆーらゆら……。この技覚えた日から私……何をしたと思います?」
「羨ましい!ゾロ!おれはあいつが羨ましい!」
「うるせえ!」
ブルックの霊魂が心なしか揺らめいて顔に力がなくなったように見える。これからいつどこでこの霊魂が現れるか分からないと思うと頭がおかしくなりそうだ。
ゾロが刀一本あれば全部斬ってやると言うから、霊魂ブルックにパッパグと合流して刀を探して来てもらった。結構時間がかかったけれど、無事に刀を見つけ出すことが出来たブルックが帰ってきた。一緒に来たパッパグが小さい体で刀三本とも抱えていたから、やっと出られると安心していたら豪快に建物ごと斬り落としたゾロの行動に青ざめることになった。
状況が分からないけれど、ホーディの残党が残っているかもしれないからと、とりあえず竜宮城を出ようとしたところでサンジくんが迎えに来てくれた。大まかな説明をしてもらって、フランキーが連れてきたサニー号に乗って大きな広場へ向かった。
「人がいっぱい……」
下に広がる光景はたくさんの島の人達とホーディに頭を押さえつけられて倒れている国王。近くに大きな人魚が見える。
ホーディが国王に手をかけようとしたところをサメのメガロの口から出てきたルフィが阻止した。
サニー号も砲撃で広場の敵を蹴散らしてから大きい音と衝撃をたてて着地する。その途端に島の住民からたくさんの疑問を投げかけられた。
「おい"麦わらのルフィ"ー!お前らは本当にこの島を滅ぼす気なのか!?」
「なぜ竜宮城を占拠した!?」
「人魚達を誘拐したのはお前達なのか!?」
「答えてくれ!お前達は魚人島の敵なのか?味方なのか!?」
「敵か味方か?……そんなこと、お前らが勝手に決めろォ!」
甲板から飛び降りて周りの景色を見渡した。町の雰囲気に似つかわしくないオーラを纏った奴がたくさんいる。離れたところの建物の上から住人達がこちらを見下ろしている。
「ジンベエ久しぶり!変わりないみたいで安心した!」
「それはお前さんもな。再び会えたのが奇跡じゃ」
久しぶりのジンベエと会話しているとホーディが壁を破壊し、その音に遮られて静まり返った。
「しらほしだけは一刻も早く始末する必要がある。まんまと引っかかったようだジンベエ……!あんたが大人しく捕まってる時点で気付くべきだった」
敵意が自分に向いたジンベエは一歩前へ出てホーディの正面に立った。
「共に魚人街で育ったはずのフィッシャー・タイガーも弟分アーロンも人間にやられちまったってのに!その仇を討つどころか張本人と肩を組むとはネプチューンにも劣らねェとんだフヌケ野郎だ!おれがこの島の王になれば全てを変えてやる!今年開かれる
「海賊王……?」
「ジャハハハ!吹けば飛ぶようなたった10人の海賊に何ができる!こっちは10万人だぞ!やっちまえ新魚人海賊団!」
合図とともに一斉に迫って来る海賊達は、ゆっくり前へ歩き出したルフィによって気絶して次々と倒れていった。二年前までコントロール出来なかったはずの覇王色の覇気。レイリーとの修行の中で扱い方を身につけたらしい。
「ホーディっつったな。お前はおれがブッ飛ばさなきゃなァ。お前がどんなとこでどういう王になろうが勝手だけどな、海賊の王は一人で充分だ!」
海賊王を賭けた戦いとなった途端に気合いの入ったルフィは、巨人の腕ギア3を構えて自ら立ち向かって行った。
覇王色で10万の半分を倒したルフィに遅れをとらないようにと、ゾロとサンジくんと同じように前へ出た。
離れたところで空に向かって銃を放つ敵の群衆が目に入ると、途端に悲鳴をあげて倒れていった。敵を惑わしている隙に斬り倒してしまうブルックの技は、二年の間に進化をしているようだ。
「あたし数を相手するの得意なんだ」
竜巻を起こすと少し離れたところから同じような風が起きる。頭にバンダナを巻いて涼しい顔をしているゾロの仕業だ。
「あっゾロあたしの真似したでしょ!」
「してねェ!おれのは斬れる!」
「あたしのも切れるようになりました!真似っこ真似っこ!」
「てめェ……!」
そんなあたし達の言い合いを妨害して、サンジくんはゾロに睨みをきかせて詰め寄った。
「おい筋肉野郎!さっきからリリナちゃんと仲良くやってんじゃねェぞ!てめェとの楽しい時間は終わったんだ!」
「アイツが突っかかってきたから相手してやったまでだ!気に食わねェってんならお前が連れて行け!」
「てめェに言われるまでもねェ!」
迫る敵の束をなぎ倒すと、空に見慣れた黒い影を見つけた。サンジくんに見えたけど空を飛べるはずがないと疑って、目を擦ってからもう一度確認してもやっぱりサンジくんだった。
「いーなーサンジくん、空飛べるようになったんだ!」
空からの攻撃で更に一斉に敵の群衆が倒れていった。サンジくんだけじゃなく、フランキーも大きなロボを登場させて主にルフィ達を魅了して大きな戦力を見せつけていた。ロビンもナミもチョッパーもウソップも、みんな二年前には見たことのない力を発揮していき、次第に見晴らしが良くなっていった。