関わらないために人混みを掻き分けてどうにか静かな場所を目指して移動を始めた。
一際大きな音が響いて、それに反応するとそこには頂上戦争のときに見たパシフィスタが何体もいた。
戦場はますます激しくなるばかりであたしも早くしないと逃げられなくなる。まだ高いところにいるルフィと合流しようとしても人の波が押し寄せてきてなかなか前に進めない。
「……何でおめェが麦わらと呼ばれてんだ……」
「オイてめェ!おれが誰だか分かってるよな!?ぶっ殺されて腹わた引きずり出されたくなきゃあ道をあけろ!おれはドラゴンの息子で!ガープの孫で!懸賞金4億の……」
「麦わらはおめェみてェなカスじゃねェよ!」
対峙した戦桃丸が逃げようとしていたニセモノの見え透いた嘘を遮るように自前の鉞の中心部分でニセモノを頭から叩きつけた。
戦桃丸の凄まじい一撃で失神したニセモノを見て騙されていた海賊達の動きが変わり、更にごった返しになった広場にあたしは逃げ場を失った。
さっそくホンモノを見つけたパシフィスタはルフィにビームを放った。その先にいたルフィが大きな鞄を持ったまま大きな瓦礫の上に飛んで避けたときには、被っていたマントも変なつけ髭も取れていて広場の全員に大々的に顔を晒すことになった。
「何すんだ!リュックには大事な弁当が入ってんだぞ!」
「手配書と同じ顔ォーー!!」
二度目の驚愕の事実に慌てている海賊達の隙間から放たれるパシフィスタのビームを軽く躱したルフィが追っ手を止めるために放ったのは2年前とは違う威力、覇気を纏った絶大な力でパシフィスタは一撃で動かなくなった。
「あっ!ルフィ待って!」
しっかりとリュックを背負って逃げていくルフィを見失わないように追いかけようとしてもたくさんの人が行く手を阻む。
「おいルフィー!」
「ルフィ!やっぱりか!何でてめェは常にトラブルの渦中にいるんだよ!」
人の壁と戦っているとゾロとサンジくんの声が聞こえてきた。すかさず2人に狙いを定めたパシフィスタはビームを構えたけど一撃ずつ2人から受けたせいで地面に倒れこんだ。
それを目の当たりにしたあたしは胸を打たれる。みんな強くなってる。この先の冒険がとても楽しみで仕方なくなった。……やっと、会えた。
けれど目の前の人の壁は相変わらず通してくれることはない。ルフィ達はまだ広場にいるけど早くしなくちゃ置いていかれてしまう。
「ちょっと通して!あたし向こうに行きたいの!お願い!おね……もうっ、邪魔ーーっ!!」
少しずつ焦り始めると余裕が無くなって苛立ちに変わった。3人が背中を向けたとき一気にイライラが上りつめて無意識のうちに風を起こして周りを蹴散らしていた。
「……やっちゃったー」
風がおさまりあたしの周りに誰もいなくなった頃には静まり返っていた。そして視線はあたしに集まっている。被っていたフードは風にすくわれて、既に元の位置に戻ってしまっていた。
「
「げっ!……あ、おじさん早く逃げた方がいいよ!」
目標を変えた海兵達が、こっちに向かって来たから走ってルフィ達の方へ逃げた。その時ここへ一緒に来た男が口を開けていたのを見つけたから一声かけて、動きやすくなった広場を突き進んだ。
「リリナ!お前いたのか!」
「ルフィ!ゾロ!サンジくん!」
やっと気付いてもらえて嬉しかった。手を振るルフィからその隣にいたサンジくんに目を移すと、もう他のものが見えなくなってしまった。2年ぶりに会えたことで気持ちが高ぶって勢いのまま抱きついた。
ぎゅっと力を込めると体温が伝わってくる。サンジくんの匂いに混じった煙草の香り、やっと会えた安心感と幸福感で胸がいっぱいになった。
「あ、あれ……?」
と思っていたら、勢いそのままにサンジくんは倒れてしまった。受け止めてくれると思っていたから驚いて顔をあげると目を開けたまま固まっていた。目の前で手を振っても反応がない。気絶してるんだろうか?顔を覗き込むと反応があってから目が合った。
「リリナちゃん……」
「ごめんね!会えてとっても嬉しくて、そしたらつい……!」
「いや、おれの方こそ、君の愛を受け止めきれなくて……」
「どうでもいいけど早く行くぞ。リリナ、てめェはビリだからな」
「てめェさっきからうるせェんだよ!とにかく急ぐぞ!みんな船で待ってる!」
「おう!いやー嬉しいなー!2年ぶりだなー」
あたしを抱えたまま起き上がったサンジくんは走り出した2人について行くとルフィがすぐに立ち止まって遠くを見つめたまま動かなくなった。
「レイリーー!」
ルフィの視線の先を見ると大きな木の根にポツンと座っているレイリーを見つけた。
「フフフ、一応様子を見に来たが問題なさそうだな。更に力が洗練されている」
「うん!」
「では早く行きなさい、仲間達の元へ」
「うん!レイリー2年間本当に色々ありがとう!」
「改まる柄じゃない。……早く行け」
急がなきゃいけないのにルフィはのんきに大きな荷物をおろした。微笑んでいたレイリーもルフィの行動に目を瞬かせた。
「レイリー、おれはやるぞ!……海賊王に、おれはなる!」
2つの拳を突き上げたルフィの言葉は辺りに響いた。それからまた、これからの楽しみが増した。
「じゃあレイリー、本当にありがとう!行ってくる!」
「レイリー世話んなった!」
「行ってくるよレイリー!」
「頂点まで行ってこい!」
レイリーと、あとスリラーバークで会ったネガティブホロウを使う女の子のおかげで追っ手の海兵から逃げられた。
「おーい!」
あたし達を呼ぶ声は上から聞こえてきた。見上げると悪い目をしたとっても大きな鳥の背中に小さいチョッパーを見つけた。
「チョッパー!」
鳥の背中に乗ってチョッパーを抱きしめて再会を喜んだ。相変わらずもふもふした毛並みで気持ちいい。
そうしているうちにサウザンド・サニー号へ到着した。船で待っていたみんなはそれぞれに大人になった姿で手を振っていた。