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リリナちゃんと合流して、やっと再会できた衝撃の余韻に浸っているうちに、チョッパーがデカい鳥を使って迎えに来てくれたおかげですんなりとサニー号へ到着した。甲板には既に他のクルーが揃っていて大きく手を振って歓迎してくれた。
ますます大きくなったフランキーと変わらないブルック。少し逞しくなったように見えるウソップと……美しさに磨きがかかったナミさんとロビンちゃん。二人が目に入った瞬間におれの身体が反応して鼻血を噴き出した。

送ってくれた鳥から甲板へ飛び込むと一層船は騒がしさを増した。おれはというと未だに美女2人のショックが強すぎて立ち上がれない。

「リリナ、早くいらっしゃい」
「おい早くしろ!船を出すぞ!」
「待って!……ルフィ!あたしちゃんと、言わなきゃいけないから!……あのねルフィ!……これからは麦わらの一味として、あたしのこの船に……うわっ!」

高い声に引き寄せられるようにリリナちゃんを見るとさっきまでの笑顔と打って変わって不安そうに眉をひそめていた。振り絞るように精一杯叫ぶリリナちゃんの言葉を遮るようにルフィは腕を伸ばしてその体を引き寄せた。驚いて短く声をあげたリリナちゃんは一瞬で甲板へ飛び込んできた。

「お前はずっとおれのもんだ!今更変なこと言うな!白ひげのおっさんにも言ってやっただろ!ニシシっ」
「お前本当に紛らわしいあの言い方したのかよ」
「おう!」

あんな誤解を招くような言い方しやがってルフィが船長でなきゃ、すり潰してたとこだ。
ルフィの相変わらず強引な物言いにリリナちゃんの瞳には涙が浮かんでいた。そしてルフィの首に腕を回して抱きつく。小さくありがとうとお礼を言うリリナちゃんに満足そうに笑うルフィ。この2人にしか分からない痛みで、きっとあいつしか頼れない部分であっておれの役はない。


「リリナ良かったー!」

くっついたままの2人はナミさんに引き剥がされて、そのまま抱きしめられたリリナちゃんは嬉しそうにそれに答えている。側に来たロビンちゃんに優しく頭を撫でられれば空いてる腕でロビンちゃんを引き寄せる。

麗しい花園に飛び込んでいきたい衝動と戦いながら震えていると綺麗な瞳が突然おれを捉えた。リリナちゃんは何度か瞬きをしてから笑顔を見せてくれた。終始笑顔でいても、おれにとって今のはとびっきりで最高だった。
更に騒がしくなる胸を押さえてると足は自然とリリナちゃんへ動いた。しかしおれもおれも、と割り込んできたチョッパーに阻まれたせいで叶わずに終わったため足が自然と止まった。リリナちゃんも困った顔をしていたが、そのままナミさんから離れてチョッパーを腕におさめると頬を擦り寄せている。



船はフランキーが浮き袋を外したことによって沈み始める。バタバタと動き出しておれはリリナちゃんとの再会のハグは叶わなかった。いいんだ。こうして同じ船に、同じ一味としていられるのならチャンスはいくらでもある。

「沈むわよ!みんなすぐに帆を張って!」
「帆!?」
「コーティング帆船は海流を風のように受けて動かすのよ」
「沈めば勝手に着くんじゃねェのか!」

帆を畳む縄を解くと変わらない堂々としたサニー号となった。守ってくれたデュバルには感謝をしないとな。

「ほんじゃ野郎共!ずっと話したかったことが山程あるんだけど!とにかくだ、2年間もおれのわがままに付き合ってくれてありがとう!」
「今に始まったわがままかよ」
「まったくだ!お前はずっとそうなんだよ!」
「出航だーー!行くぞォ魚人島ーー!!」

懐かしく感じた号令に胸が高鳴り、衝動に駆られるまま腕を突きあげた。海に飲み込まれるようにみるみるうちに沈んで行くサニー号はおれ達をまだ見たことない世界に運んでくれる。