彼の夜ご飯を作り彼の帰りを待っていると、
気がついたらソファで寝てしまっていたようだ。
カチャカチャと食器を当たる音と、水の流れる音が聞こえる。まだ重たい目蓋を開けて、音のする方を見れば、いつの間に帰ってきたのか、部屋着のパーカーに着替えた彼がいた。
『キバナ……?』
私の声に気付いたのか、キバナは笑って振り返り水を止めた。
「起こしちゃった?」
そのままタオルで手を拭いて、ソファの前まで来たかと思うと、私の目線に合うようにラグの上にしゃがんで私の頭をゆっくり撫でる。
「ただいま、ナマエ。よく寝てたな。起こすの申し訳なくて、ご飯先に食っちまったぜ…洗い物とか、洗濯物畳むとか、今日はオレがやるから、ナマエはすこし寝てな?」
そういった彼は、大きな温かい手で私の目元を覆う。光を遮られた私の意識は、また暗闇の中に戻っていく。
「おやすみ、ナマエ」
そう彼が呟いたような気がした。
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