豆撒き!(皆でわちゃわちゃしてるだけ)⁑

『お待たせー!!』
「豆缶 沢山買ってきたぞ!」

ホップとナマエが走ってきた。

「そんなに走るとこけるわよ」
「そうそう。この間だって転けそうになってたのに」
「転けそうになったら私が支えます」

と後からやってきたのはルリナとソニア、サイトウの3人。

雪が積もり冷え込んだ日の夜、
誰もいない夜のスタジアムで待っていたヤロー、ネズ、マクワ、キバナ、ダンデ(ちゃんとキバナが連れてきた)が振り返った。

『みんなお疲れ様!』

息を切らせて駆け寄ってきたナマエにキバナがわしゃわしゃと頭を撫でる。

「お前の方もお疲れ様。買い出しありがとな!」

マクワがさり気なくナマエとホップの持っていた豆缶を奪い取り、
「結構な量ですね…相当重たかったんじゃないですか?」
と、そのまま缶切りで蓋を開け始めた。


「ちゃんと鬼も決めておいたんだぜ!!」
ワクワクした表情のdndと反対に、
「あみだくじでしたけどね…」
nzは少しばかり呆れている様子だ。それでも残ってくれているということは、楽しみにしてくれているのだろう。

『誰が鬼なの?』
「まずはオレさまとマクワだ!!」
「お手柔らかに頼みますよ」

ニヤッと笑ったキバナの横に、マクワが並んだ。缶を開けを終わったらしい。

「はい、ナマエの分」

それぞれ、升に分けられた豆を受け取るが、全員が初めてのようで…

「豆撒きなんて初めてじゃ。勿論、その文字通りの豆まきなら農業でやっとるけどなぁ」
「みんな初めてじゃない?私もやったことないもの」
「私もだよ。プラッシータウンでも聞いたことないもん」
「あぁ、マリィも来られれば良かったのに…」


「よーし!やるぞ〜!」

ホップ掛け声にキバナが鬼の仮面を顔につけた。

『アハハハハッ!なにその仮面!』
「に、似合ってます、よ…!」
「サイトウ、笑いが隠せてね〜ですよ。そしてマクワに至ってはなんですか、そのサングラス」
「似合ってるでしょう」

ノリノリの鬼役2人と、よーしやるぞ!っと息巻く8人。

「さぁ!豆撒きタイムを楽しめ!!」

ダンデのその掛け声がスタートだった。



その後はまるで豆がシャワーになったかの如く、鬼役に飛んでいく。
「ホップ、豆は一粒ずつじゃなく沢山掴むらしいんだぜ!!」
「こうか!?アニキ!」

「ネズ、ルリナ!オレさまばっか狙うな!」
「日頃の憂さ晴らしです」
「だってmkwには全く当たらないんだもの」
「全く当たらない!?それってどういう…マクワ!?って、いてぇっ!」

よそ見をすることすら許されず、ひたすは豆を投げつけられるキバナに、マクワは横目で返事する。

「これでもアクロバットに鍛えているのでっ!これ、くらいっ!なんのっっ!!」

小さな豆なのにこんなに避けられるものなのか。

その時

ボスッ!!!!

「うわっ!?」

突然マクワが倒れた。
その顔には大きな雪が…
誰もが手を止めて、飛んできた方向を確認する。

その方向には

『ごめんごめん、雪玉でも避けられるのかなって思ったら、つい』

と全く悪いと思っていないであろうナマエが頭を掻きながら笑っていた。

「ナマエっ!!何するん、ですかっ!!」

立ち上がったマクワが、砕けた雪玉を練り直しナマエに投げ返す。

雪玉が当たる直前、また雪玉が砕け散り、粉雪と化した。

「ナマエさんに雪玉が当たったらどうするんですか…」

怒りモードのサイトウである。

「いやいや、マクワは当てようとしてたんだってば」

ソニアがツッコむが効果はないようだ…

その光景をポカンと見ていたキバナにも、とんでもなく大きな雪玉がぶつかった。

「よそ見は、よくないんじゃねーですか?」
「お前…!さっきからやってくれてるじゃねぇか…いいぜ、オレさまも反撃開始だ!!」

目を吊り上げ一気に交戦モードに入ったキバナはお面を投げ捨て、同じく雪玉の被害者のマクワに声をかける。

「マクワ!反撃開始だっ!!」
「やりましょう!!」
「なんだか面白そうだぜ!!オレも乗った!」

何故かダンデまで鬼側に寝返り、それどころかリザードンも参戦するという。

「なにそれ!じゃぁ私だって!カジリガメ!!」
「ワンパチ!」
「バイウールー!」
「タチフサグマ」
「ワタシガラ、出番じゃ!」

各々のパートナーを出し、再び開戦したのであった…


「マクワさん、先程のナマエさんへの攻撃、忘れませんからね」
「それはこっちのセリフです!!」

「アニキ、オレの豆、交わしてみろ〜!」
「受けて立つぜホップ!」

「いてぇっ!誰だ今オレさまにタネマシンガンしたやつ!」

「ソニア、この後さ、みんなで鍋行こっか。体冷えちゃうし」
「そうだね、ルリナ。お店予約しておこっか」





豆は飛び交うわ、雪玉も飛び交うわ、これは一体何なのだろう…




『本当は豆撒きのはずだったんだけどなぁ…
まっ、いいかっ!』

雪豆合戦に替えたきっかけを作った本人は呑気に、ベンチへと移動して、皆を眺めることにしたようだ。

『ロトム』

と自分のスマホロトムを呼ぶ。

『みんなが写るように、写真撮っといて』


ナマエにとっては、みんなと過ごす こんなワイワイした日常が幸『 福 』なのだ。



ー今年もみんなと過ごせますように…


ただひたすら騒ぎまくる皆を微笑ましく見つめながら、そう願ったのだった。


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