03

「で、お前一体何なんだよ?ギャラドスと何してたんだ?そのスティックはなんなんだよ。なんで…」
『えーっと、何から答えればいいのかな…?』

ギャラドスが湖の中に消え、マンタインに入江まで送ってもらい、地面に足をつけた途端キバナは彼女に詰め寄った。
その瞬間、水しぶきがキバナの顔にかかった。

「!?つめたっ!!」

マンタインだった。
キバナが彼女にいじわるをすると思ったのか、マンタインが軽く水しぶきをかけたのだ。

『大丈夫だよ、マンタイン。君もありがとね』
そう彼女が声をかけながらマンタインの背中に優しく触れる。
マンタインはキバナと少女の顔を見比べたあと、水中へと姿を消した。

「あれ、お前のマンタインじゃなかったのかよ?」
キバナが尋ねる少女はキョトンとした顔で答えた。
『私、ポケモンは持ってないよ?』

「は!?手持ちポケモンなしでこのワイルドエリアをうろうろしてるのか?」
『まぁ、そうなるかな…?』
「手持ちもいないで、何してたんだよ!?あぶねぇじゃん!」

『声が聞こえたの』

「声?」
『うん。ポケモンの声…』
「どういう意味だ?」

『私、時々、本当に時々なんだけど、ポケモンの声が聞こえるの』
「聞こえるって…」

『自分でも分からないんだけど…それに、なんて語りかけてきているのかも分からない。
お父さんとお母さんならきっとハッキリ分かったと思うんだけど、私は漠然としか…

でも時々頭の中に響いてきて、その声の方に行くと、必ずワケありのポケモンがいるの。
それは、放っておいたら助からなくなるような怪我をしたポケモンだったり、
とても悲しい気持ちのポケモンだったり…』

そう言った彼女は、信じられないと思うよね、と困ったように眉を下げて笑った。

『今日もね、なんだか分からないけど、とても怒っているような感じの鳴き声が響いてきたの』
「それって、さっきのギャラドスか?」

『うん。あの子はトレーナーに傷つけられたみたいで…
彼らはギャラドスのげきりんに触れてしまった。
私が来た時には、トレーナーたちは逃げ出したあとだったんだけど、あのギャラドスは突然襲われたこともあって大混乱してしまった』

「それで怪我をしたのか…」

『大混乱を起こしたギャラドスは、きっと大暴れしたんだと思う…
怪我はとっても酷くて…近づくに近づけなかったんだけど、さっきのマンタインが協力してくれたの』

そういうと、彼女は湖の方を振り返った。
先ほどのマンタインがどこにいるかは分からないが、沢山のマンタインやタマンタたちが跳び回っている。その姿はまるで美しい海にいるかのようだ。

「お前はポケモンの怪我を治せるんだな?」
『うん、一応は一通りは治せる、と思う…
元々お父さんとお母さんがポケモンのお医者さんだったの。お父さんとお母さんを手伝ったり、医学書を読んだりしていたから…』

キバナは呆気にとられた。
自分も彼女もまだ年幅はいっていないのに、もう医学書なんか読めるのか…

この少女は一体何者なのか、益々気になるキバナだった。

★ブラウザバック推奨
Top