01.キミしかいない

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【初恋は叶わない】なんて言ったやつに会えるのなら、是非会ってみたい。
会って、心の底から褒めてやりたい。
あなたのその言葉は全くもってその通りだと…

ーーーーー
ホップ視点
「ほら、ナマエ、泣くなって。アイツに告白するんだろ?」
『そうだ、けど…あの子、スクールの女の子に囲まれてばっかりだもん…』
「オレが呼んできてやるから。な、頑張るんだぞ!」

本当はオレ自身がナマエを好きなのに…

彼女がアイツと出会うもっともっと前からナマエが好きなのに…

そう頭の中で響く声を殺した気持ちは、いつもジクジクと胸の中で疼きつづけながらも、ナマエのためならばと必死に頭の中で理解しようとしていた…

ーーーーーー

机で寝てしまったからか、懐かしい夢をみた。
身体を起こし、まだぼんやりした頭で先程まで見た夢について考える。
あれはいくつくらいの頃だっただろうか…
まだオレもナマエも幼い頃の夢だ。


幼い頃の女の子が男の子を好きになる理由なんて単純だ。
「足が速い」
「服がかっこいい」
「頭がいい」

ナマエもそんな感じで、彼女が好きになる男の子は大体が他の女の子からも人気者だった。

男の方はいくつになっても単純で、
「可愛い」女の子が好きだ。

そんな単純な男どもは、
大人になってグンと綺麗になったナマエの見た目だけに惚れ込み、自分のアクセサリーにしようとにじり寄ってくるのだ。

そんな奴らにオレは簡単に負ける。
すぐ隣にいるはずなのに、違う男にナマエをかっさらわれてしまうのだ。

そんな単純な、可愛いとか綺麗とか、そんな理由でナマエのことが好きなわけじゃないのに…

それでも、ナマエの為ならばと気持ちに蓋をしているのは今も昔も変わらない。

そんなこんなで、オレは一度もナマエに気持ちを伝えたことなんてないのだ…




大分頭もスッキリしてきて、そう言えば部屋が暗いなと窓の方へ目を向ける。外を見れば日が落ちていて、ウールー達の鳴き声も聞こえない。昼に活動するタイプたちと入れ替わり、今はゴーストタイプのポケモンたちが出歩く頃だ。時刻は19時を過ぎたくらいか。

冷めきってしまったコーヒーでも淹れ直そうと立ち上がりキッチンに向かうと、
眠っていたはずのロトムがパッと目を覚まし、ホップの元へ飛んできた。

「着信ロトよ。ナマエロト」

着信の相手は先ほど夢の中にまで出てきたナマエ。

「ロトム、繋いでくれ」
「了解ロト」

ロトムにそう指示した瞬間、

『ホップ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』

とんでもない音量で電話が繋がった。これには思わずロトムもビックリしたのか「う、うるさいロト…」と小声で呟き、通話ボリュームを下げた。

「どうしたんだよ、ナマエ」

ロトムにごめんと片手をあげながら、ナマエに返事をする。

『聞いてよ!ホップ!!あいつが…!!もうっ…本当ありえない…!!』

声の震わせ方から、
烈火の如く怒るナマエの様子が目に浮かび、
あぁ、これは…と心の中で察する。

「わかったよ。話、聞いてやるから20時にいつものバーな」
『さすがホップ〜…!!私にはやっぱりホップしかいない!!またあとでね!』


プツンッ


一方的に通話を切られ、真っ暗になった画面を見れば、画面に反射して情けない顔をしている自分が目に入り、小さくため息をついた。


オレの中にはいつだってお前しかいないのに…


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