※特殊設定
※ビアン主と若イルミ



私はそこそこ由緒ある家系に産まれた女である。
どういった由緒なのかと聞かれれば答えてあげよう暗殺業。
男であれ女であれ年寄りであれ子供であれ実績があればでかい顔ができる超実力主義カーストの我が一族で、本家の長男の一人娘なんていう血統ガチャを神引きした私は産まれた瞬間、立っているスタートラインは中の上。だからかまぁそこそこ自由にさせて貰っていたと思う。しかしガチガチ英才教育の中で迎えた反抗期。特に原因があった訳じゃないけど何となくとにかく凄く家が嫌すぎて私は全寮制の一般学校に逃げ込んだ。まぁ勿論簡単に許して貰える筈もなく、ターゲットの首100人獲ったら良しなんていつの時代の武将かよとツッコミたくなる交換条件だったが死ぬ気でそれをクリアした私は周りと数ヶ月遅れで編入を果たすのだ。
この数年間は本当に楽しかったと今でも思う。
普通に勉強をして普通に友達と遊んで普通に彼氏ができて、親に隠れて普通に酒と葉っぱとクラブを覚えた。普通だ。普通のティーンを私は満喫した。周りもまさか私が暗殺一家の1人だとは思いもしなかっただろう。数年間の自由だったが私の人生にとってかけがえのない時間だった。

そしてもう一つ、私の人生を大きく変える事になった出来事がある。

彼氏はいた。そこそこ面の良いバスケ部の主将やラグビー部のエースなど周りが羨む人を選んだ。それでもなんだかずっと違うなぁと感じではいたけれど、これはもう産まれた環境の違いだと思い込むように努めていた。しかしどうも拭い切れない違和感を抱いたままある日の週末、クラブで泥酔してハイになった私は勢いで彼氏の先輩の彼女と寝た。その時に気付いてしまったのである。

私の性的嗜好は女だと。


「▲▲、今日も来ていたのね。イルミはまだ帰ってきてないわよ」

話は変わるが18歳を迎え学校を卒業後の私は実家へと戻りこれまで通り仕事をしていたのだが、早々に出てきたのが見合いの話である。まぁいくらか自由にさせて貰っていてもこれは避けて通れないよなと受け入れた相手がなんとあのゾルデック家の長男で。我が家も大きくなったんだなぁとしみじみ感慨に耽りながら出向いた顔合わせで、私の心を掴んだのは同じ歳らしい18歳の彼よりも隣にいた母親の存在であった。

「存じております。キキョウ様とこの間みたいにお喋りがしたくて少し早く来てしまいました。ご迷惑でしょうか」
「んまぁ!気にしないで今お茶を淹れるわ!」
「手伝います!」
「いいのいいの!あなたはそこで座っていて!」

そういって上機嫌でティーセットを準備する彼女を見つめる。いつ見てもエロい女だ。コルセットであがった腰を見ながらこれで数人産んでるんだから尚えっち。と邪な視線をいずれ義母になる女に向ける私が気持ち悪いのは充分承知してますとも。
別に彼女とどうにかなろうなんて考えはない。
私が家の為に男と結婚して子供を産むのは至極当然の事で。
それを断ってまで自由に生きるには実力が足りないのも理解している。
だからといって自分を卑下するつもりもないが、どうせ抗えないのだからせめて潤いくらい欲しいよね。と私は定期的に設けられる婚約者との逢瀬の合間にこうやって義母ときゃっきゃうふふとお喋りを楽しんでいるのだ。はたから見れば良い嫁姑関係を築こうとしているように見えるだろう。

「▲▲来てたんだ」

ふと背後から聞こえた声に内心舌打ちしながら取繕った笑顔で振り返ればそこにいたのは我が婚約者。

「おかえりなさいイルミさん」

くそ!あと1時間は帰ってこないと思ったのに!

「おかえりイルミ!貴方も飲むかしら?」
「ただいま母さん。せっかくだから▲▲と部屋で飲むよ、運ばせといて」

ほらおいで。と私の手を繋ぎ歩き出す彼に内心f×ck!と思いながら大人しくついてく。
あぁお母様!あぁキキョウさん!!
嬉しそうにこちらへ小さく手を振るその姿が愛らしくてセクシーでキュートなんて最高かよと思いながら私は廊下の角を曲がるまで彼女に手を振り続けていた。

握られた手は何となく力が強かった気がした。