▲BUT IT’S YOU

そのぽってりとした桃色の唇はゆっくりと開き、オレではない名前を呼ぶ。
わかっていたことだ。▲▲がオレに見向きもしてないことも、想っている相手がいることも。わかった上で近づいた。わかった上で飲ませて、この最低な夜に半ば強引に引き摺り込んだのだ。仕掛けたのはオレだし、それでも良いと思っていた。
「…隼、人、」
それでも、よく知ったその名前が▲▲から溢れる度つい何かを想像しては吐き気がした。
「はっ、嬉しそうだな」
「そこ、好きっ」
オレの声が新開とは違うこともまるで気にしていない様子の▲▲はオレから与えられる快楽に身を捩る。すっげェむかつく。思わず口から言葉が出てしまいそうな程に。オレといながら、ましてや身体を重ねているというのに、他の男を呼ぶようなこんな女、こちらから願い下げだと思いたい。早く幻滅したい。嫌いになりたい。なのに、隼人と呼ばれても尚、オレはこの女が嫌いになれない。本当は▲▲の目を覆うオレのネクタイをずり上げて、その目に現実を見せてやりたいと思う。
「▲▲…っ、お前今、誰の下で喘いでんの?」
最低だ。こんな質問、オレも▲▲も幸せになれない。
そう思ったのも束の間、▲▲はオレをぎゅぅと締め付けると、「はやと」と語尾にハートマークでも付いてそうな口ぶりで言ってのけた。それと同時に▲▲の身体が反り、そこが痙攣し始めたので、恐らく▲▲は達したのだろう。
「っは、つくづくむかつく女だな、お前」
ネクタイを上げると水分の満ちた目がオレを捉える。少し恨めそうなその視線に、オレもすぐに吐き出した。
「挿入ってる内は目、取んないでよ」
「あァ?」
コイツ、ホンットむかつく。