▲ALMOST COMPLETE …

部活を引退すると、途端に日常にヒマが訪れるようになった。そんな頃、あまり話したこともないクラスメイトの●●が週末出掛けようと言うので誘いに乗ってみることにした。約束の時間までまだ15分もあると言うのに、既に待ち合わせ場所の駅前広場に着いてしまったのは、案外俺自身今日を楽しみにしていたのかもしれない。無論、●●がどうのという訳でなく、女子と出かけると言うイベントに、だ。
「丸井くん、待った?ごめんね」
俺が到着して10分ほど過ぎた頃訪れた●●は、声を掛けられなければ認識できなかったであろう。教室ではどちらかというと冴えない、パッとしない真面目ちゃん、というイメージだったが、まるでその反対に属する容姿である。
「あ、いや、…別に」
ちょっとな、と言ってやりたかったのに、日頃と違う●●の雰囲気についどぎまぎしてしまう。
「準備に手間取っちゃって朝ごはん食べ損ねちゃったよ」
「じゃあなんか食う?」
「助かります」
近くのカフェに入ると、ホットドッグが美味そうで、腹が減ってる訳でもない俺までフードを注文していた。
「●●、あの…言いそびれたんだけど、…その…」
「んー?」
「いつもと雰囲気違うな、」
「変…かな?」
「いやっ、その逆っつーか、…いいんじゃね」
みるみると顔面に熱が昇る。それを助けるように店員が注文したものを持ってきてくれて安心した。
「ほら、ホットケーキとカフェラテ」
「ふふ、ありがと」
たった一つを褒めるだけでこんなにてんやわんやする俺と違い、●●は妙に落ち着いている。その男に慣れていそうな”余裕”が気に入らない。
「ねね、ブン太くんのも一口ほしいな」
「ぶっ、おまっ…!」
「…ダメだった?」
「●●、普段と違いすぎねぇ?」
「そうかな?…あ、でもギャップって、大事なんでしょ?」
悪戯なしてやったりのニタリ顔を浮かべている●●はきっと確信犯だ。