「お前っ!どうしたんだよ、その顔」
私の彼氏は、感情的になるとすぐに暴力をふるう。いままでは人から見られない身体に痕を作っていたのだが、昨日はそれでは足りなかったようで顔にも所々アザが散らばっていた。
「へへっ、昨日転んじゃいまして」
「……転んだだけでこんなとこにこんなアザ出来るわけないだろ」
手嶋キャプテンは、私の前髪を耳にかけてそのアザを指で撫でていた。
「いやあ、奇妙がられるだろうし部活も休もうかと思ったんですが、いつ消えるかわからなかったので…」
「そういう話はしてない。これはどうしたんだって聞いてるんだよ●●」
「ああ…」
だから、転けちゃったんですって。とちょける予定だったのに、大きな目に涙を溜めた表情で私のアザを眺める手嶋さんを見ていたら、その言葉はなんか言うことが出来なかった。
「自分が殴られた訳じゃないのに、優しいですね」
「●●、」
「彼氏です。6つ年上の、彼氏です」
バ先で捕まえました。と笑えば、対照的に手嶋さんの眉間にシワが寄った。
「別れませんよ。これを除けばすごく優しいんです」
「除くなよ、これを」
「ははっ、確かにそうですね」
心配そうな目を向ける手嶋さんを振り切って外へ向かおうとドアノブに手をかける。
「待て」
「手嶋さん、」
「好きならしょうがない。…でも、俺ならお前にこんな思いさせない」
その言葉の意味が一瞬理解出来なかった。それでも、想定外の言葉に驚きで顔に熱がのぼる。なんで赤くなってんだ、私。それをも振り払うように返事もせずに外へ向かった。