▲硝子の破片で傷付ける

木兎さんのことを見ている時の●●はとてもキラキラした目をしていて、一目で惚れているのだと察した。木兎さんは●●の感情に気付いていないようだが、ちょっと前に▲▲ちゃんって可愛いよな。と俺に言ってきたあたり2人が結ばれるのは時間の問題かもしれない。
「今日の木兎さん、すごく調子が良かったね」
俺が後ろに立っていることにも気付いていなかった様子の●●は、ビクッと肩を震わせて振り返る。反動で後頭部に吊り下がっていた髪の尻尾が左胸に移動して、伴って煽られた空気がシャンプーの匂いか●●の匂いなのかは知らないが、良い匂いを運んできた。
「赤葦もだったじゃん」
俺はそうでもないよ。と言うと、えー?あの時とかこの時とか、凄かったよ?とただでさえ大きい目を開いて不思議そうに首を傾げた。広い●●の視界の端でも、俺がうつっていたという事実は素直に嬉しい。
「ああ、ありがとう」
「感謝される様なこと言ってないよ」
「木兎さんだけじゃなくて、俺も見てくれてたんだなと思って」
なんで木兎さんなのと狼狽える●●はとても女の子をしていて可愛らしい。そうさせる相手が俺ではなく木兎さんだということはとても憎たらしいが。
「●●わかりやすいから。別に、言ったりしないし隠さなくていいよ」
言ったりしないのではなく、教えてあげないだけだが物は言いようだ。
「絶対言わないで」と頬を赤く染めて俺の腕を握った●●に、本当に木兎さんのことが好きだったのかと落胆する。わかっていたことだが、俺の勘違いであって欲しいと望んでいた希望は呆気なく散った。
「言わないよ」
絶対だよ。と念を押しながら離れていく●●に、軽く頷いて手をひらひらと振ると●●も真似をした。
「……赤葦も同じくらいわかりやすいよ」
「うわっ、いつから」
いつのまにか背後に居たらしい白福先輩はにやにやと楽しそうに笑っている。
「赤葦がイジワルしてる時くらい」
「意地悪なんてしてませんよ。というか、余計なこと言わないでくださいよ」
「えー?どうしよっかなあ」
楽しそうな白福先輩に、お願いします、本当に。と真剣に懇願する俺は先程までとは打って変わって余裕がない。
「俺の勝負は来年からなんですよ」
「なるほど〜。じゃあ肉まん3個」
「……やむなし」
ラッキーと足取り軽く去っていく白福先輩に俺は重い足取りで着いていく。
「はぁ。今月余裕ないのに……」





title by 婀娜 さま