▲雨に打たれる
「わ、雨」
先ほどまでの晴天が嘘のようにざあざあと突然降り出した雨は、帰路を歩いていた私たちの体をしっかりと濡らし始める。折り畳み傘も荷物が重くなってしまうのが嫌で持ってないし、隣を歩いている京治くんも私をじっと見つめるだけでどうやら傘は持っていない様子だった。
「京治くん、」
「……意外と、赤」
「え?」
「あ、いや、なんでもない」
ぼうっとした顔をふるふると振って着ていた制服のジャケットを脱いで私にかける。
「はい、手通して」
言われるがままに袖を通すと、ゆっくりとボタンを閉められた。そしてそのまま差し出された手を握ると、少し頬を紅潮させた京治くんは早く帰ろう。と足を進める。
「あの、京治くん、ごめんね」
「何が」
「送ってくれたから濡れちゃった」
「俺が一緒に居たかったから」
「……風邪ひいちゃったらどうしよう」
「その時は▲▲が看病して」
あまり表情の無い京治くんがちょっと意地悪な表情で笑っていて、鼓動が少し早くなる。わかったと一応精一杯の返事はしたけれど、雨の音に紛れて聞こえたのかどうかはわからない。
家に着くとあっさりと手が離れて、少し寂しい。
「京治くん」
「ん?」
「あがっていく?」
「あー、……今日はやめておいた方がいいな。色々と」
「でも、雨」
「うん。……透けてたし」
返そうとジャケットのボタンに手をかけた頃、京治くんの指がそれを指す。そこで今の発言の意味を理解して、恥ずかしさで頭がいっぱいになる。
「……あがって、いけば?」
何言ってるかわかってる?と淡々とした口調で言う京治くんは、こくりと頷いた私を見て顔を手で覆ってはあ。と大きい溜息を吐いた。その様子に不安を感じなかったわけではない。
「嫌だった?」
「嫌な訳ない」
食い気味で答えた京治くんとの距離が一気に近くなって、ゆっくりと唇が触れる。雨はもう上がり始めていた。
数が増えたら消したい