▲上澄




お前それは早く告白しろよ!と周囲の怒号を浴びるのはそれなりに気持ちがいい。人の恋路の心配をしてくれて、我ながら良い友に囲まれていると思う。
「だが、それはしない」
なんでだよ、と半ギレの岩泉を横目に、花巻はニヤリと笑う。お前は意外と察しがいいよな。▲▲ちゃん絶対待ってるってーとやいのやいのと盛り上がる二人組を放って机に頬杖をつくと、花巻からクズ男の素質あるね、と言われた。やかましいわ。
「もたもたしてたら取られるかもね」
「大丈夫でしょ、▲▲俺のこと好きなのは間違い無いし」
「相手にされない理想より相手にしてくれる現実かもよ」
「相手にしてないとかじゃ無いし」
「でも縛られたく無いんじゃん」
「縛られたく無いとかじゃないのよ。あら、わかってるようでわかってなかったのね」
俺とは違ったのか。と驚くお前の方が素質あるんじゃ?と思ったけど言うのはやめた。怒られそうだったから。
「でもさ、あるあるなんだけど。取られると後悔すんだよなー」
「大丈夫、恋愛のおいしいところを楽しんでるだけだけだから。俺たちは」
「そう思ってるのはお前だけだったりしてね」
「そうスカしといてただ告白できない意気地なしなだけかもね」
「そっちかよ」
ケタケタと笑ってしれっと話を変えた。ちょっと動悸がしたのは言うまでも無い。恋愛の上澄を啜って楽しんでいたのは俺だけって可能性も無きにしも非ず。きっと奪われれば後悔はする。かといってでは付き合うかと問われればその努力を惜しんでしまう。この好きと言う感情をお互い感じ取りつつも確認しあった訳ではない関係はとても居心地も良くて何より楽しい。
そんな自分のことを後悔する日は近い。