何故彼女が自分の前に現れる時いつもこうなのか。明らかに痩せ細った腕には数多の傷が刻まれていて、触れることさえも躊躇ってしまう。
「ひとまずお前うち泊まれ」
「そんなことしたら反動が怖い。それに空却さんに迷惑がかかってしまいます」
「拙僧はいーんだよ、お前より強ぇーから。それに、反動が怖ぇならずっとうちに居りゃいーだろうが」
壊れものを触るようにそっと髪に指を通す。
「きっと誘拐だとかなんだとかって、大ごとになってしまいます」
「じゃあなんで来たんだ?助けて欲しいからじゃねぇのか?」
「空却さん見てると、私と乗り越えられるような気がしてくるんです。でも、来ることが迷惑になるのならこれからは控えます」
「迷惑なんて誰が言ってんだよ」
そもそも、乗り越えるだのなんだのって話じゃ無いだろ、お前の場合はーーとぶちぶち説教を垂れてたら、少しだけ▲▲の瞳に温度が戻った気がした。
「私、空却さんと出会えてよかった」
「そういうのは別の機会で聞きたかったね。とりあえず飯準備すっから手伝え」
「客人に手伝わすんですか」
「お前、拙僧が準備してる間に帰るだろ」
「軟禁だ」
「それでもいーよ。ただ拙僧は暫くお前を帰す気はない」
「そういうのは別の機会で聞きたかったです」
「やかましいわ」
ほら、ついてこい。と手を取ればとぼとぼと続いて台所へ向かう。骨と皮しかないかのような腕は傷でざらついていて痛々しい。この傷よりもっと深い心の傷を彼女は一緒背負って生きるのかと思うとこっちが泣いてしまいそうだ。
「お前が人に恵まれてねぇのはわかったけどよ、これからは拙僧が▲▲に幸せを味わわせてやるよ」
「空却さん、それってプロポーズですか?」
「ッハ、確かに結婚すりゃずっとここに居れんじゃねーか」
「そんな理由で」
「しっかりした理由だろうが」
「結婚とかってそんな感じでするもんじゃないです」
「でも拙僧はお前を幸せにしてやりてえって思ってる、お前は?拙僧とじゃ無理ってか?」
すぐに拙僧の元に来る癖に、と言えば本気なんですか、と驚いている。当たり前だ、と言うと同時に自分の気持ちを自覚する。お前に惚れてたんだな、拙僧は。