「真子〜、海行きたい」
「はぁ?行かへんよこんなくっそ暑いのに」
「くっそ暑いから行きたいんじゃん!」
「あかんもんはあかん!行かん」
「なぁぁんで!真子と浜辺でちゃぷちゃぷ水遊びしたいなー」
「浜辺ならもっと涼しくなってからでええやろ。今は地面が燃えよるで」
「燃えてないですぅー!ビーサンも買いました」
「ビーサンもなにもそもそもお前泳げへんやんけ」
「浮き輪も買いました」
「沖に流されたらどないすんの」
「流されないように真子が見てやったらどうや」
「人任せなやっちゃなぁ」
結局行った。
そうなると思った。
俺が▲▲と海に行きたく無い理由なんて、ひとつしかない。いや、事実暑すぎるってのも事実あるけど。
「お前あかんて!この上着は脱いだらあかん」
「日焼け止めはちゃんと塗ったって」
「そういうこと言うとんちゃうねんなぁ」
物分かりの悪い▲▲に向かって、やれやれと首を振ってはみたけどこちらの気持ちは全く伝わる気配がない。ほら見ろ、どこぞのようわからん男共が▲▲に釘付けやんけ。せやから嫌やったんや。隣の俺がどれだけキッと睨みつけたってアイツらはこっちに気づきもせん。
「ちょぉ、▲▲」
「ん?」
「これもや」
「なにこれ」
「俺のんやからウエスト緩いかもなぁ」
反論する隙も与えずとっとと俺のサブ水着を穿かして、内側の紐をぎゅぅっと縛り付けた。
「まあこれなら下がらへんか…。オッケーや!」
「オッケーやちゃうわ!水着もう穿いてるよ?」
「穿いてるけどそれは穿いてへんみたいなもんやからなぁ」
「あのね、真子。水着って、男の子用と女の子より、形状が違うんだよ?」
「しっとるわ!」
今日は一段とため息が止まらない。説明するだけ無駄なので、「なんで穿かされたんだろう?」と首を傾げて考えている▲▲のことは無視することにする。
「真子、この真子の水着は私の水着に似合わないよ?脱いでいいかな?」
「脱ぐシーンなんか余計あかんに決まってるやろ!」
不服そうな▲▲は意外にもそれを穿いたまま水着を被り始めた。
「しっかし▲▲ちょっとダサなったけど今日もめっちゃ可愛らしいなぁ」
「きゅ、急になに!?」
「そんなカッコでも似合ってまうぐらいべっぴんさんやからなぁ」
「ねぇ、本当になに!?」
ヨシヨシと頭を撫でて、そのまま横の髪を耳に掛けさせて結構しっかり目にキスをしといた。落胆して肩を落としながら去っていく男達にやっと俺の姿が見えたようだ。
「ね、え!真子!」
「やって可愛かってんもん。しゃーないやんか」
「こんな所で恥ずかしいよ」
「こんな所やからすんねやろ」
恥ずかしいなんてどうでもええ。寧ろ海に行きたいなんか言うたお前が悪い。まあ俺としては恥ずかしがっている▲▲も可愛いからオールオッケーか。