その日、私は光栄なことに隊長に同行させていただくことになった。いつもよりしっかり目に死覇装を着付けて隊長の部屋を訪れる。
「平子隊長、本日はよろしくお願いいたします」
「相変わらず▲▲はかったいのぅ」
「沢山ご迷惑をおかけしてしまうと思うので」
「ええやん。それぐらいの方がかわいらしいわ」
ほな行こか。と徐に立ち上がった隊長の後に続く。
どうやら最近流魂街で不審な霊圧が察知されているらしい。隊長が自ら行かれるのだから、恐らく軽くはない事件なのだろう。
「▲▲」
「はい」
「もしあかんって思ったらすぐ逃げや」
「えっ…」
「大丈夫や。俺はお前の霊圧常に感じとるから迷子にはさせへんて」
「迷子の心配ではありません」
「ハイハイ、1人になるんが寂しいんやな。わかっとるから」
「そう言うことではありません」
「▲▲。お前は知らへんかもしれんけど」
突然歩みをやめた隊長は私の目をしっかりと捉えるので、何を言われるのかと身が引きしまったのも束の間。
「お前があんな事やこんな事しとるのも霊圧で感じとるからな」
「ふざけないでください」
「霊圧がこう……揺れとるから」
「そんな訳ありません」
セクハラですよ、それ。と言って一発隊長の頬を引っ叩くと、嬉しそうにニヤニヤと笑っていた。
「あかんわ、部下が上司に暴力振るったら」
「上司が部下にセクハラ働くのがいけないんです」
「そんなん言うてもわかんねんもん!こう…揺れとんのやから。おぉ、やっとんなぁ思うやろ」
「本当今自分が何言ってるかわかってます?」
「参戦したろかなぁ思うやろ」
「平子隊長」
「怒った顔もかわいらしいなぁ、▲▲」
ヨシヨシと犬を撫でる様に私を撫でた隊長は満足気にまた歩き始める。
「隊長、本当におおごとにしますよ」
「せえへんよ、▲▲は」
「何を根拠に」
「ほんまは嬉しい癖に」
「嬉しくないです」
「ほんまか?▲▲、俺のこと好きやん」
「好きですけど嬉しいかは別、で、…す」
「好きですけど〜、なぁ。へぇ」
「嵌められた」
「はめっ…お前、そらあかん方に聞こえるわ」
「ほんとにおおごとにします!決めました!もうします!」
「なんて言うねん。好きやぁ言うて当てられて恥ずかしかったですぅ言うんか」
「むかつく」
「好きが溢れるの間違いやろ」
隊長はいつもの様なニヤニヤした笑い方ではなく温かい眼差しで私を見つめると、ほんまに可愛いやっちゃなぁ。と呟く。
「え、え、え、」
「ほら、行くでぇポチ」
「犬じゃありません」
先をそそくさと歩く隊長の長くて綺麗な髪が風にそよぐとチラリと見えた耳が仄赤らんでいたことは気づかなかったことにしてあげようと思う。