「で?ソイツにちゃんとお前の気持ちは伝えたのかよ?」
「伝えられるわけないじゃん…」
▲▲は口をへの字にして下瞼いっぱいに涙を溜めている。もしお前が惚れた相手がオレだったならこんな表情させやしないのに、なんて、思ってみたりして。
「ま、そんな男に”実はスキなの…”なんて言ったって都合の良いオンナになるだけだろうし。良かったんじゃねェの?」
「私バカだからさ、都合の良い女でも良いって、ちょっと思っちゃった」
そんなことを考えるようなタイプじゃないと思っていたせいで、つい目を見開いて何も言わずに▲▲を眺めてしまった。
「…なによ、」
「……オレは、▲▲に…自分を大事にしてほしいって、思ってる」
「なにそれ」
「ソイツはそりゃカッケェ男なんだろ。お前が惚れたぐらいだからなァ」
「…うん、」
「オレが届かないような男だってことぐらいわかってる。でも、オレはお前がソイツにクソみてェな扱い受けてたらすっげェ腹立つ」
「届かないって、なによ」
「オレはオメェに惚れてんだよ!ずっとだ!好きな女が弄ばれてんのなんておもしれェ訳ねェだろ」
「靖友…、」
「バァカそんな目で見んな」
さっきまでとは違う意味でまた泣きそうな表情を浮かべている▲▲は、今日はえらく泣き虫らしい。▲▲とは結構な時間を過ごしてきたと思うが、こんな表情を2度も見る日なんて初めてだ。
「まァ、なんだ。お前が誰にどう思われても、お前を大事に思ってるヤツもいるってことは覚えとけ」
「…泣く、」
「もう泣いてんじゃねェか」
オレの胸にコツンと額を当てて泣き顔を隠す▲▲になら、オレはどこまででも都合良く使われたっていい。なんて、それじゃ▲▲と一緒じゃねェかよ。