「●●サン、非番のところ出てきてもらっちゃってすみません」
「いえ、大丈夫です」
「ちょっとコイツをある所まで届けて欲しいんですが、いかんせん今空いた手がなくて」
「…?後ろで皆さんヒマそうに麻雀やってますけど?」
「そ〜なんスよ。忙しいんっス、皆さん」
「いやっ、だから後ろ、皆さんヒマそうに麻っ「五番隊まで。…届けてもらってもいいっスか?●●サン」
浦原隊長はちょっとキモい笑顔を浮かべていた。誠に、心底優しい上司だこと。
「喜んで」
非番なのに働いている。しかし、今日の仕事はとても楽しい。
コンコン、と扉を叩くと、は〜い。と気の抜けた色っぽい声が返ってきた。
「平子隊長、十二番隊の●●です」
「はよ入り」
失礼します、と踏み入れた平子隊長の部屋は、まるでお日様のような良い香りで満ち満ちている。
「?珍しく▲▲がおめかししとるわ」
「実は今日非番なんですよ。でも浦原隊長から、これだけ持って行って欲しいと頼まれまして」
「おー悪いな、ありがとさん。ほなこの後デートの予定でもあるんかいな」
平子隊長は私の”推し”のような存在ではあるが、本人は全く気づいていないようだ。こんなに鋭そうなのに、意外と自分への好意には気づかない的なタイプなのかな。
「じゃあ、お昼ご飯連れて行ってくださいよ」
「なんで俺やねん!彼氏泣くで」
「いませんよ彼氏なんて」
「ふーん。▲▲、美人やのになぁ」
「っ!!!」
きっと何の気なしに言った一言なんだろうが、私の鼓動は急にペースを上げて顔が赤らむのを感じる。
「そ、そんなことないですよ」
「なんや、照れてんのか?かわいらしいのぉ」
ニヤニヤと(可愛い)笑顔で私へ近づいた平子隊長は、ぽんぽん、と私の頭に触れた。狙ってやっているのか否か、そんな行動一つに私は全身の血液が沸騰して溶けてしまいそうだ。
「……真っ赤やないか」
「だって…平子隊長が…、」
「……▲▲、俺のこと好きやったりして」
「っ…、悪いですか」
「ふーん」
見たこともない満足げなニタリ顔をした平子隊長は机に戻ると、頬杖をついて上目遣いで私を見上げる。
「ほな、今日昼飯連れてったるわ」
「!!」
「食いたいもん決めときや」
「ではまた、お昼時に…来ます!」
「おん」
ひらひらと手のひらを振る平子隊長はきらきらと輝いて見える。
「浦原隊長、昨日はありがとうございました!」
「いえいえ、非番のところ呼び出しちゃってすみませんでした」
「そんなそんな!あんな仕事ならいつでもお待ちしてます。もう麗しすぎて癒し効果が…」
「それはよかった。…しかし、ワタシも中々綺麗な顔立ちだと思うんですがね。癒し効果、ないですか?」
「好みの問題でしょうかね?さて、浦原隊長!今日もお仕事頑張りましょう」