▲イルミ
どんどんばちばち。
がやがやきゃーきゃー。
防弾仕様の窓からでも聞こえてくる外からの随分と騒がしい音に眩しい光。これを綺麗だと思う前にやかましいなぁと思ってしまった私は随分と摺れた大人になってしまったのだろう。
まぁこの喧騒のおかげで今日の暗殺は随分と楽に終わったから、感謝しないとな。なんて思いながらターゲットの部屋を後にすると、廊下にいたイルミが「お疲れ」と声をかけてきた。
「そっちも終わった?」
「うん」
今日の依頼はイルミからの斡旋であった。別に私を使わずとも彼なら難なくこなせただろうが、珍しく同じ現場のダブルブッキングだったようで手間をお金で解決したという意図だろう。
「ニューイヤーだかなんだか知らないけどこれだけ花火だ爆竹だ街中でどんぱちしてくれてるおかげで動きやすかったね」
「なまえの故郷はこういうのじゃないの?」
「んーどうかなぁ。内緒」
2人で話しながら手早く空き部屋に入るとイルミが窓を開けて周囲を見回す。開けた窓から入ってきた花火の煙が鼻につき私は顔を顰めた。
そう、つい数十分前に世の中は新しい年を迎えた。
かといって個人的に何かをするわけではないけれど、私達が仕事で来ているこの街では夜中とは思えない騒音と明るさで新年を祝っている。
「これだけ騒がしかったらホテルで寝れるかなぁ」
ターゲットの死亡にそろそろ側近達が騒ぎ出す頃合いだろう。表は固められているのを見越して私達は窓から隣のビルへと移り淡々と非常階段を降りていく。このまま裏路地に降りて群衆に紛れれば今日の仕事は無事終了だ。
「俺このまま帰るけど一緒に来る?」
「は?パドキアに?今から?」
「うん。ここより静かだよ」
「おもろ。何その冗談」
「―――――ねぇ、」
イルミが何か言ったが丁度そのタイミングで一際大きな花火の音が響いたものだから私は足を止めて「ごめん何て?」と首を傾げた。
「…別に」
歩き出すイルミが突然「今年も宜しくね」なんて言うから私は思わず階段を踏み外す。無防備な足首がぐぎっと悲鳴をあげたのが分かった。damnit!!!
「らしくない事言わないでよ!びっくりしたじゃん!」
「失礼だなぁ」