なつがっしゅく! vol.2

遂に訪れた合宿初日、私は関空にいた。
「飛行機ってさ、緊張するよね」
「なんやなまえ苦手なん?」
「ちょっとね」
どうやら私の隣の席は謙也らしい。そわそわする私を訝しげに見ていたので、飛行機が苦手なことを打ち明けた。飛び立つ時のグゥっとくる圧も、飛行中の絶対に逃げられないという現実も、胸がドキドキするポイントだ。
「なまえも可愛えとこあるやん」
「やかましいわ」
指先の冷たくなった私の左手を、謙也の大きな右手が包む。
「のわっ」
「はは、びっくりしすぎやろ」
「いやっ、びっくりはするでしょ」
「えー?やってなまえが怖い言うから」
ほら、こうしたら怖ないやろ?と恋人繋ぎをして見せつけるようにその手を私の方へ向ける。これはこれで別の意味でドキドキするんですが、なんて言えるはずもなく、私はこくりと一度だけ頷いた。
「なんや偉い素直やな」
「うるさい」
「なまえも怖い飛行機の中では大人しなるんや」
「そりゃなるでしょ」
「そらええこと聞いたわ」
謙也の口角が上がったと同時に、飛行機が動き出す。
「ああああああ始まる」
「怯えとけ怯えとけ!なまえのこんな姿レアやで」
「わらうな」
「なあ、」
「なに!」
「…帰りも絶対俺の隣やで」
「……知らんわ」
いつもより少し低い謙也の声に、耳がこしょばくなる。絶対に頬が赤くなっている自覚があるが、ぎろりと謙也を睨むと、謙也は満足そうに笑っていた。


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