14



「さーて、それじゃあ早速第一種目行きましょう」


ミッドナイトの声に合わせ、空中に映像が投影された。


「雄英って何でも早速だね」


『時間は有限って学校の考え方なのかな』


「所謂予選よ!毎年此処で多くの者が涙涙を飲むわティアドリンク!!
さて運命の第一種目!!今年は…コレ!!!」


ドラムロールが止まった瞬間に映し出された五文字。
障害物競争という表示に、お?と反応する


「障害物競争…!」


「計11クラスでの総当たりレースよ!
コースはこのスタジアムの外周約4キロ!」


大きな音を立てて開いたスタジアムのゲート。掛かったアーチの中央には、信号機の様なものが付いている


「我が校は自由さが売り文句!
ウフフフ…コースさえ守れば、何をしたって構わないわ!」


ミッドナイトのその言葉を聞いて、覚悟を決めた。
列を離れ、主審である彼女の許に駆け出す。


「どうしたの?」


『あの、私全身雪化すると服が脱げちゃうんです。
ジャージを置いておける場所ってありますか?』


「ああ、個性によるデメリットね。
じゃあコレをどうぞ」


ミッドナイトに差し出されたのはショルダーバッグだった。
オレンジのそれを開けると、折り畳まれていた縦長のシートが広がる。


「サポート科の作った、全身変身しちゃうタイプの個性向けのショルダーバッグよ。
サイドに付いているダイヤルで、バッグ自体もサイズ変更が可能なの。
コレの持ち込みに関しては、主審の判断に委ねられるからOK。遠慮なく使いなさい」


『ありがとうございます!』


「ふふ、期待してるわよ」


『頑張ります!』


急いで通路に駆け込んで、ショルダーバッグを広げた。
そこに横たわり、雪化する。
梟になりもぞりとジャージから顔を出した所で、呆れ返った声がした


「何やっとんじゃてめェは…!!!」


『ぴ?』


見上げると、般若が居た。
吊り上がった目にびっくりしたものの、天の助けと翼でシートを指した。


『たたんで!』


「あ?てめェコラ判っとんのか?それがもし競技中に解けたら…」


『わかってる!でも かちたい!』


「!」


第一種目というからには、まだ種目が控えているのだ。
ならばそれの為に、個性を使わずに済むのならそうしたい。
確かに4キロも飛べば疲れるだろう。
それでも、MP1の消費且つ風に乗ればそこまで疲弊しない梟状態と、走る上、MP10使って飛行、おまけに疲弊する人間状態では、状況が大分変わるのだ。


『かちたい。がんばりたい』


全ては一位を目指す為。
じっと勝己を見つめれば、彼は頭を掻き毟った。


「あああああああ!!!てめぇはほんっとに人の話を聞かねぇ…!!
くっそボケが覚えてやがれ…!!!」


それから渋々、ジャージごとシートを畳んでくれた。靴も纏めて放り込まれていく


『ありがとう!』


パチンとボタンまで留めた所で、私の首に掛けてくれた。サイドに付いているダイヤルに気付いたのか、くるくる回して鞄のサイズ調整までしてくれる。
最後に私に翼を広げさせ、飛行の邪魔にならない事を確認すると、勝己は私を抱き上げた。


『ぴ?』


「急ぐぞ。もう始まる」


「さぁさぁ位置に着きまくりなさい…」


ミッドナイトの前を駆けていく勝己の腕の中で、彼女にぱたりと翼を振った。
気付いてくれたのか、にっこり笑った彼女に見送られ、生徒の行列に並ぶ。
…いやこれ最後尾だな…?私は兎も角勝己は…
申し訳なくなって見上げると、鼻で笑われた


「良いんだよ。どうせ初っ端数は減る」


『ぴ?』


「なにあれ、フクロウ?」


「え、あれ誰?個性?」


「ヤンキーがフクロウ抱っこしてる…」


めちゃくちゃ周囲から見られているものの、勝己に抱っこされていれば誰も話し掛けて来ないので楽である。


「刹那」


『なに?』


正面を見据えたまま、勝己が口を開く


「一瞬も気を抜くんじゃねぇぞ。
通路に戻る前に元の姿に戻ったら、お前の命はねぇと思え」


『ぴぃ…!!』


えっこわ。
めちゃくちゃ脅してくるじゃん…でも私だって全国中継で全裸とか嫌だ。
此処は絶対に気を抜かない事にする。
ラジャー!と翼で敬礼すると、ふっと勝己が目許を緩めた。


「あとは…ああ、俺ン事はほっとけ。とっとと一位になってろ」


『なんで?』


頭上のランプが赤く染まった。
カウントダウンを始めたそれを、静かに二人で見つめる


「人より鳥の方が簡単に抜け出せんだろ。…あと、半分野郎に近付き過ぎるなよ」


そっと大きな手が私の頭を撫でた。
赤いランプが真ん中に移動する。
次が、始まりの合図だ


「どうせ俺が一位になんだから、仮初の一位を堪能しとけ」


勝己が挑発的に笑って、


「ビビってんなよ、刹那」


「スターーーーーーーート!!」


開始の合図と同時、私は空に投げられた。













真上に緩く放られた私は、そのまますうっとゲートを通過する。
丁度抜け出した所で、走者の足許が凍り付き始めた。
これは前方を行く、轟くんによる妨害だろう。
適度な風を捕まえる。羽ばたきは少なめ、負担を軽減する形で飛行する。
轟くんよりゆっくり飛んでいるのはアレだ、前に出たら間違いなく攻撃されそうなので。
一応今の姿では、まだ攻撃は厳しい。
そこまで練度が至っていないのだ。やったら多分雪化が解ける。
故に今回は、全力でアウェイ作戦。
出来れば轟くんにどっかで転んでてほしい。びゅん!!って逃げたい。


《さーて実況してくぜ!解説アーユーレディ!?ミイラマン!!》


《無理矢理呼んだんだろが》


頭上からプレゼント・マイクと相澤先生の声がする。
それに続く様に後ろからクラスメイトの声が聞こえてきた


「甘いわ、轟さん!」


「そう上手くいかせねぇよ、半分野郎!!」


「クラス連中は当然として、思ったより避けられたな…」


『ぴぃ…!!』


めっちゃ此方見てる…!!
視線から逃れる為に高度を上げた所で、峰田くんが飛び出したのが見えた。


「轟のウラのウラをかいてやったぜ、ざまぁねぇってんだ!
食らえ、オイラの必殺…GRAPE…」


次の瞬間、小柄な影が吹っ飛ばされた


「峰田くん!!」


出久が呼ぶも、結構な力で吹っ飛ばされた彼は転がっていく。
それを見送った所で、立ちはだかる影に目を向けた


〈ターゲット大量!〉


「入試の仮想敵!?」


『どっすん?』


「えっ!?あれ刹那ちゃんなん!?」


それは入試の時、最後に現れた0ポイントだった。
立ち止まった一行の中で声を発すると、お茶子ちゃんにびっくりした声で呼ばれた。


《さぁ、いきなり障害物だ!!まずは手始め…
第一関門、ロボ・インフェルノ!!》


「入試ん時の0ポイントヴィランじゃねぇか!!!」


「マジか!ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」


「多過ぎて通れねぇ!!」


「一般入試用の仮想ヴィランってヤツか」


「何処からお金出てくるのかしら…」


その声を聞いて、推薦だとあの試験じゃないだろうしな、と思い至った。
轟くんが地に手を付けたのを見て、静かに高く舞い上がる。


「────クソ親父が見てるんだから」


その手を挙げた瞬間、ロボ・インフェルノの一体が瞬く間に凍り付いた。
動かなくなったロボの足許を抜ける轟くんを見て、後続が着いていこうとするが


「アイツが止めたぞ!あの隙間だ!通れる!」


「やめとけ、不安定な体勢ん時に凍らしたから…」


轟くんが通り抜けた瞬間、氷像となっていたロボがぐらりと傾いだ。


「倒れるぞ」


倒壊したロボの轟音を背に、轟くんが駆けていく。
私は上に上がって、ロボの傍をすり抜けた。


《1ーA、轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!
凄ェな!!一抜けだ!!
アレだな、もうなんか…ズリィな!!》


ロボに何度か狙われるものの、ギリギリで回避出来た。
ほっと息を吐く。
これで一発でも食らってみろ、世間的に死ぬしきっと勝己に殺される


《第一種目は障害物競争!!
この特設スタジアムの外周を一周してゴールだぜ!!》


《おい》


《ルールは、コースアウトさえしなけりゃ何でもアリの、残虐チキンレースだ!!
各所に設置されたカメラロボが興奮をお届けするぜ!》


《俺要らないだろ》


解説の声を聞き流しながら、轟くんの斜め後ろに付ける。
勝己が上から仮想敵を乗り越えたというアナウンスが入って、まだ暫くは来ないだろうなと踏んだ。あの人は後半型だから。


《おおーっと!?此処でトップの轟に迫る小さな白い影!!
1ーA白露!!なんとフクロウに変身して追撃だー!!!》


やっべ、バレた。
これ皆から攻撃される可能性上がんない?
とは言え今更この位置を譲る事も出来ないし、抜いたらやっぱり背後が怖い。
怖いものは視界に入れつつ距離を取るのが一番なのだ。


「…お前、そんな事出来んのか」


『ぴぃ…!!』


轟くんが 此方を 見ている!!!
怖い。めちゃくちゃ怖い。
…ちょっと速度落とそうかなと思ったけれど、勝己に貰った言葉が背中を押してくれた


────ビビってんなよ、刹那


そうだ、ビビっちゃダメだ。
いや、ビビるけど、退いちゃダメだ。
だって少しでも一位になっとけって言ってくれた。
何時も言うビビってんなの一言は、勝己なりの頑張れだから。


『まけない!』


「……フクロウって喋るんだな」


『ぴ?』


《オイオイ第一関門チョロイってよ!!んじゃ第二はどうさ!?
落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!
ザ・フォーーーーーーーール!!!》











第二関門は、円柱の岩と岩をロープで繋いだ様なエリアだった。
よし、飛ぶ。翼は最強。


《実に色々な方がチャンスを掴もうと励んでますね、イレイザーヘッドさん》


《何足止めてんだあのバカ共…》


《さぁ先頭は難なくイチ抜けしてんぞ!!》


轟くんを抜こうとすると、やはりというか妨害された。
恐らく鳥である私が本気で飛べば、捕まえる事は叶わないと判っているんだろう。
ぶっちゃけびゅん!!って逃げたい。
でも背中を見せた瞬間氷漬けになりそうで嫌。平素ならまだしも、この姿じゃ無理。
せめてきっかけがあればなぁ…
轟くんと距離を取りつつ並走していたその時────聞き慣れた爆破の音がやって来た


「くそがっ!!!」


『かつき!』


「オイコラ低空飛行してんじゃねぇ!!
上がれや!!上に!!!」


『きりゅう めちゃくちゃ!!』


「ぁあ!?」


《先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!
上位何名が通過するかは公表してねぇから、安心せずに突き進め!!》


轟くんがちょいちょい氷を出す所為で、空気が冷えて可笑しな風が吹くのだ。
そんなものに間違って乗ってしまえば即落下。真上に上がるにしても、雪の身で日光ガン受けはしんどい。
なので、時たま飛んでくる攻撃を躱しながら、しれっと同時一位の座に付いているのだ。
だってロボ・インフェルノまで凍らせる人だよ…?絶対急上昇してる間に凍らせてくるもん…


《そして早くも最終関門!!斯くしてその実態は────》


一見何もなさそうな平原に出た。
ただ明らかにぽこっとした何かがある様に見えて、首を傾げる。


《一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!
地雷の位置は良く見りゃ判る仕様になってんぞ!!目と脚、酷使しろ!!》


早速後続の一人が地雷を踏んだらしく、飛んだ。
それを見たプレゼント・マイクが補足する


《ちなみに地雷!
威力は大した事ねぇが、音と見た目は派手だから失禁必須だぜ!》


《人によるだろ》


「エンターテイメントしやがる」


今だ。
地雷に気を取られている今なら、轟くんを抜ける。
ぐっと強く翼を動かした所で、聞き慣れた声と爆発音が響いた


「はっはぁ俺は────関係ねーーーー!!」


『ぴぃっ!?』


爆速で丁度間に割り込んできたのは、勿論勝己だ。
風圧で吹っ飛びそうな私を片手で抱き込んで、そのまま轟くんを睨み付ける


「てめェ、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ!!」


「………………」


「刹那!まだ終わってねぇぞ!飛べ!!」


『がんばる!』


《此処で先頭が代わったーーー!!喜べマスメディア!!
お前ら好みの展開だぁぁ!!》


ぱっと放られ、再び翼を広げた。
爆破で大きく飛び出そうとする勝己の腕を、轟くんが凍らせた。
その際に前に出ようとすれば、此方に向けて氷が立ち塞がる。


《後続もスパート掛けてきた!!!
だが引っ張り合いながらも、先頭三人がリードかぁ!?》


抜けない。
攻撃も出来ない身だけれど、でも絶対に退きたくない。
間に入った勝己のお陰か、轟くんの攻撃は私が前に出ようとしなければ向かってくる事はない。
いっそ高度を上げて一気にゴールに突き進むか?いや、それだと勝己に阻まれる。
多分私を取っ捕まえて、そのまま一位になりに行くだろう。
何かチャンスはないだろうか。
急に強風が吹くとか────


背後で、明らかに可笑しい爆発音が発生した。


《後方で大爆発!?何だあの威力!?
偶然か故意か────》


三人で一斉に振り返る。
見えたのは、大災害でも起きたレベルの爆発と────飛んでくる出久だった。


《A組、緑谷、爆風で猛追ーーー!?!?
っつーか!!!
抜いたあああーーーー!!!》


頭上を板状の物に乗って飛んでいった出久。
爆発によって起きためちゃくちゃな風の所為で、私は落ちない様にするだけでせいいっぱいだ。


「デクぁ!!!!」


「!!!」


「俺の前を行くんじゃねぇ!!!」


「後ろ気にしてる場合じゃねぇ…!」


先頭二人が出久を追う為に個性を使う。
私も懸命に翼を動かし、追い縋った。


《元・先頭の三人、足の引っ張り合いを止め、緑谷を追う!!
共通の敵が現れれば人は争いを止める!!争いはなくならないがな!》


《何言ってんだお前》


このまま一気に速度を上げるか?
いや、出久の目がまだ死んでない。これは────


出久が乗ってきた板を地面に叩き付ける。
カチ、カチ、と妙に胸騒ぎのする音を鳴らして────地雷による爆風で、一気に前に吹っ飛んだ


『びいいいいぃ…!!!』


その風に吹っ飛ばされる寸前、がっと抱き込まれた。
そのまま風の中を走る勝己の手は、まだ凍り付いている。


《緑谷間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原即クリア!!
イレイザーヘッド、お前のクラス凄ぇな!!どういう教育してんだ!》


《俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火ィ付け合ってんだろう》


《さァさァ、序盤の展開から誰が予想出来た!?》


《無視か》


《今一番にスタジアムへ還ってきたその男────緑谷出久の存在を!!》


そっと腕から放られて、飛び立つ。
さっきの爆風で火傷したのか、右の翼が焼けていた。
瞬く間に轟くんと勝己の背が離れていくが、諦めない。
後ろには茨の髪の女子生徒が迫っている。
せめてその人に抜かれない様に、飛びにくい翼で風を捕まえて────ゲートを潜った。











ふらふらしつつゲートを潜った所で、また抱き込まれた。
見上げた先、勝己は酷い顔をしている


『…かつき』


「まだ戻んなよ。運ぶ」


『ありがと』


沢山個性を使ったのか、触れる掌は熱い。
運ぶ間会話はなく、通路に着いた所でさっさとショルダーバッグを抜かれた。
シートを伸ばした所で、勝己が背を向ける。
その配慮に感謝しつつ、ジャージの中に潜った。
人の形に戻った所で、勝己に声を掛ける


『ありがとう、勝己。ごめんね、何度も助けさせちゃって』


「だからやめろっつったんだ。お前、下手すりゃ生中継でマッパだったんだぞ」


『…でも、どうしても此方の方が一位を狙えるから』


…いや、これはただのエゴか。
勝己に何度も迷惑を掛けた。これは事実だ。
此方を振り向いた勝己に、静かに頭を下げた


『ごめん。競技中に出来る事があれば、何でもする』


私を助けていなければ、勝己が一位になれたかも知れない。
轟くんに腕を凍らされる事もなかったかも知れない。
そう考え、未だ凍り付いている右手に触れた。
ちょっとだけ集中して個性を使う。
氷を少しだけ削って私の氷を入れ────一気に砕いた


「……ンだ、今の」


驚いたのか、勝己が目を丸くしていた。
それに笑って、シートを片付ける


『使い方の応用だよ。ちょこっと私の氷を混ぜて、汚染するの。それで砕く』


実は冷蔵庫の氷にうっかり自分の氷をくっ付けてしまって気付いた事なのだが、恥ずかしいので言わない。
今は砕く事しか出来ないけど、どうにか頑張れば操るっていうのも出来るかも知れない。
勝己は暫く凍っていた右手を眺めていた。
それから此方に手を差し出して、にやりと笑う


「随分小回りの効く性能になったなぁ?」


『小回り…』












『ショルダーバッグ、ありがとうございました』


「頑張ってたわね。可愛かったわよフクロウ」


『ありがとうございます』


「あ、サポート科に申請すれば直ぐにこのタイプのサポートアイテムは作って貰えるから、必要なら申請してね」


『はい』


ミッドナイトにサポートアイテムを返却し、続々と戻ってくる走者を出迎える。
結果としては四番だったが、勝己に助けられていなければもっと下だっただろう。


「漸く終了ね。それじゃあ結果を御覧なさい!」


投影されたモニターには、四十二位までの名前が並んでいた。
つまり、そこから下は落ちたという事だ


「予選通過は上位四十二名!
残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!
まだ見せ場は用意されてるわ!!」


一度切って、ミッドナイトが再び声を張る


「そして────次からいよいよ本選よ!
此処からは取材陣も白熱してくるよ!キバリなさい!!!」


第一種目の発表と同じ様に、回転する映像とドラムロールが会場に流れる。
逸る心臓を手で押さえつつ、食い入る様に映像を見つめた


「さーて、第二種目よ!!私はもう知ってるけどー…
何かしら!?言ってる傍からコレよ!!」


効果音と共に表示されたのは、騎馬戦の三文字だった。


「騎馬戦…!」


「騎馬戦…!」


「個人競技じゃないけど、どうやるのかしら」


上鳴くんと峰田くん、梅雨ちゃんの声がする。その文字を見上げ、隣の勝己に囁いた


『騎馬戦ってアレ…?折寺で勝己が馬を虐待してたヤツ…?』


「どんな印象で覚えてンだ。進まねぇ馬が悪ィ」


『これって女子不利じゃない?私入れて貰えるかな…』


強化系じゃなきゃ役に立てないんだろうか。騎馬戦という事はチーム戦。
非力な私なんかチームに加えて貰えるんだろうか。
俯く私を、勝己がじっと見ていた事には気付かなかった


「参加者は、二〜四人のチームを自由に組んで、騎馬を作って貰うわ!
基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが────先程の結果に従い、各自にポイントが振り当てられる事!!」


「入試みてぇなポイント稼ぎ方式か、判りやすいぜ」


「つまり────組み合わせによって、騎馬のポイントが違ってくると!」


「あんたら私が喋ってんのに直ぐ言うね!!!」


砂藤くんと切島くんの先を取った言葉に、壇上でミッドナイトが鞭をしならせた。
二人から四人で騎馬を組む上、第一種目でのポイントも絡んでくるとなると…
隣から無言で両手を差し出されたので、しっかり繋いでおく。
人を保冷剤代わりにするのやめない?


「ええ、そうよ!
そして与えられるポイントは下から5ずつ!
四十二位が5ポイント、四十一位が10ポイント…といった具合よ」


『え、私何ポイント…?』


「195」


『ありがとう…計算はや…』


「そして…一位に与えられるポイントは────1000万!!!」


勝己と話していた所で投下されたミッドナイトの言葉に、思わず固まった。


「1000万?」


慌てて出久を見れば、彼も目を丸くしていた。
周りも同じ様に、出久を見ている。
周囲の鋭い視線に晒されながら、出久は冷や汗を流していた


「上位の奴ほど狙われちゃう────下剋上サバイバルよ!!!」









突破










刹那→フクロウで飛んだ。
最高速度で飛ぼうとすれば率先して轟に潰されていたので、結果今回の作戦は成功だった。
飛ぶのに最も適しているというだけで、攻撃には不向き。
もっと練習すればまだまだ早く飛べる様になる。
個性はテクニック派。威力はあるが大雑把な轟とは逆で、威力は劣るものの精密さはある。

爆豪→フクロウが何時解けるかヒヤヒヤした。
フクロウを抱えた姿が全国放送され、ヤンキーがフクロウを抱えていると話題になる未来が待っている。

轟→フクロウは喋るとインプットした。