ネクタイと登校
「あっ…竜二さん…?」
まさかこんな早朝の通学路で竜二さんに会うなんて思ってもみなかった。
「紫?」
「はい。おはようございます。珍しいですね。こんな朝早くに出会うなんて…」
「ああ、おはよう。確かにな…」
今日は良い1日になりそうだ。
「あれ、竜二さんネクタイ曲がってますよ」
そう言いながら竜二さんのネクタイに手をのばし整える。
「…と、よし!できました!」
「ありがとう。」
竜二さんにちょっと微笑みながらお礼を言われた。はにかんだような笑みに心臓が音をたてる。
「どうした?そんなに赤くなって」
竜二さんらしいニヒルな笑みが意地悪でそれを聞いているのだと物語る。
「なんでも、ないです」
「嘘つけ。ほら、紫ちゃんはどうしてそんなに顔が赤いんだ?ん?」
竜二さんの手が私の頬を包んで自分と目が合うように少し上を向かせる。
「…意地悪。」
「誉め言葉だな。まぁいい。帰ってからゆっくりいじるからそのつもりでいろよ。」
それはそれで恐ろしすぎる…。
「ほら、途中まで一緒に行くぞ。」
「はい!」
まさか竜二さんと登校できるなんて思っていなかったので嬉しくて仕方ない。
繋がれた竜二さんの手から伝わる温もりが愛しくて、学校なんか近づかなければいいのにと本気で思った。
(あ〜あ、紫完全に俺の存在無視だよ。紫苑君寂しい!竜二なんか死ねばいいのに!俺の可愛い紫を嫁に貰おうなんざ1億5千万年早いわ!)
(あの二人、出勤前の夫婦みたいやったな〜特にネクタイ直すとことか)
(ゆらちゃんそれは言わない約束!)
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