あなたしかいない



フラワーバレンタイン
なんとなく目に入ったそれを追ってみたら薔薇がたくさん入ったバケツにつけられたポップアップだった。
薔薇の花言葉が色と数でいろんなのがあるんだなと思いながら本数の花言葉が全部当てはまっちゃうなと思いながらこういう日に渡すならこれかなと薔薇を手に取った。

店先で薔薇を見ていたのを見られていたのか笑顔の店員さんに迎えられてちょっと照れてみたり。




貰っている合鍵で名前の家に入ると甘い匂いに出迎えられて頬が緩む。
なんとなく薔薇を背中に隠して部屋に入るとタイミングよく指先についたチョコを舐める名前と目が合ってお互いに吹き出した。

「見ちゃった」
「見られちゃった」

手招きされるまま近づくとチョコを掬った指先を見せられるからパクりと口に招き入れた。
甘くてほんのり苦い味が広がった。
指先のチョコを残さないように吸いつけばちょっと色っぽい顔をする名前が可愛くて指先を解放してからそのまま名前の唇に自分のそれを押しつけた。

唇を離すのと同時に後ろに隠していた薔薇を見せればキョトリとした顔をした後に嬉しそうな笑顔になってそれが名前の手に収まった。

「Happy Valentine’s Day」
「thank you」
「近くの花屋さんでたまたまね」
「たまたまでも嬉しいよ」

薔薇の匂いを嗅ぐ名前はチョコ作りのためか長い髪を後ろで束ねていて襟足のちょっとだけ出た髪の毛を退かす真似をして首筋を指先で撫でると肩を竦めて逃げるから追いかけて花を潰さないように抱きしめた。

「後でチョコ一緒に食べようね」
「今年はなーに?」
「後からのお楽しみー」

毎回クオリティが高くなっていく手作りのチョコは俺にサプライズしたいのと楽しませたいのとがあって、毎回考えてくれるのが嬉しいなと思う。

「薔薇って本数でいろんな花言葉あるんだって」
「1本だけの花言葉はなーに?」

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