筵に包まってなお
都におわす蝿男爵 手を揉んで 千通りの未来に目を凝らす
歪で、清純で、巨悪と立ち向かう、罪を受け流し、清廉潔白とは、いかないが、在るべき姿。
愛を求めていたような? 愛はあったような?
腐臭に群がる蝿男爵 産まれ出ル 延長上の兆しに 這いつくばる
優美で、堕落して、かき混ぜて、織り込んで、汗と、汗と、悲哀、重力、涙腺の無い、喜劇の舞台
運命に導かれるように? 風に運ばれるように?
蝿男爵 おお 蝿男爵
駆けつける火炙りの魔女 共に招かれようか
嗅ぎつける日和見の場所 共に招かれようか
蝿男爵 おお 蝿男爵…
かねて胸中に渡る運河へ 羽が濡れ
さらば現世の誓い
都におわす蝿男爵 永劫の夢さえ 千通りの未来に 目を伏せる
蛙のタンゴ マムシのアルペジオ 黄金虫の腸
戦慄の協奏社会
選ばべし戦士達よ
集いし真に勇気ある者よ
雄叫びを上げ 都を焼き尽くせ
蝿男爵の嗤い声が枯れ
四肢がもげ堕ちる
劫火の終焉が幕を引く
愛を求めていたような?愛があったような?
バラレル街唯一のサポラ劇場が閉幕した後、がらんとした舞台を客席から一人の男が見つめている。
タイトなズボンがベルト無しで首に巻き付けている裸同然の
兄貴ぃ あ二きぃ あ=きぃ あ=き11
あ/き=11「愛は見つかったかい?きっと俺は勘違いしていたんだな……愛ってのは…」
男はズボンのポケットからタバコを取り出して火をつけた。
舞台には薄明かりが照らされているが、動く者は無い。
男はただじっとその舞台を見つめていた。
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