order of deathB


洋介の座る待合室の窓から見える57番街の町並みは、繁華街から離れていることもあり、
人通りも疎らで、立ち並ぶ雑居ビルから溢れる明かりも無機質な物が多い。

人の営みを感じさせない町並みである。

10平米程の室内には横並びに2つのソファ3列に並べられていて、最前列のソファにスーツ姿の男が一人座っている。

壁には目に留まるような掲示物もなく、室内に流れるクラシック音楽以外に動的なものは一切ない。


「受付番号3番のお客様。大変お待たせしました。5号室へお進み下さい」

待合室にアナウンスが流れる。

少しの間があって、最前列の男がすくりと立ち上がり、誰に向けた訳でもなく小さな会釈をひとつして、受付横の小さな通路へと姿を消した。

洋介は一人になり、薄れていた恐怖心が心をざわつかせる。

何度も何度も繰り返したはずの思考が新たな可能性を模索し始める。

だが、水平に伸びた可能性の道は必ず暫く進んだ先で反り立った壁に阻まれる。

そして、どうしてもその壁を乗り越えるだけのエネルギーが足りないという事実の行き着いてしまう。

洋介は顔を上げて大きく息を吐いた。

「通りゃんせ、通りゃんせ、ここはどこの細道じゃ?」

洋介はどこかで聴きいたことのある童謡の一節を口ずさんでいた。

「ふっ、馬鹿らしい」

洋介はそう言って大きく伸びをして、吹っ切れたようにソファに座り直し、手元の受付番号の書かれた札にじっと目を落とした。


「受付番号4番のお客様。大変お待たせしました。7号室へお進み下さい」

洋介は立ち上がって、誰も居ない待合室を一度見渡すと、誰も居ない事を確認した。

そして、小さく笑ったかと思うと、先ほどの男に習って小さく会釈をした。

「行ってきます」

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