order of deathE


「俺らって第5世代じゃないっすか。AIRネットでの職業選択が普通に浸透してきた時期なわけで、ぶっちゃけ仕事とかって人生における重要度低いんすよね。正直似たり寄ったりじゃないっすか。空中線の街の文化的暮らしも、バラレル歴史館での探求的暮らしも、結局脳のギザギザが横から貫かれてクリスマスツリーみたいになるだけなんで、顕在化したアカシックレコードの養分でしかないんすよね」

「確かにあの頃にはまだアンチニューエイジの名残があったが、こちらの街に留まることの危険性が半ば実証されいただろうに。浅野があえてその選択肢を選んだってことは何か訳があるんだろ?」

私はテーブルに運ばれた鯖味噌定食を不均一に割れた箸でほじくりながら言った。

「くだらないっしょ。俺たちの生きてる場所はここっす。ここにしか夢は無いし、ここにしか現実はないっす。俺に注ぐ太陽も、俺を悲しませる運命も、俺が俺である瞬間も、ここにしかないんす」

私はそう言い切った浅野に対して10程の嗜める言葉を思いついたが、鯖を乗せた白米と一緒に飲み込んだ。

「なるほど、浅野は生粋のプログレ系なわけだ」

「洋介さんはどうなんすか?俺らの世代程じゃないにしろ、いやむしろ、この糞みたいな仕事を自分の判断で選んだ訳でしょ?とても知的な判断には思えませんけど?」

「今更だな。第1世代にまともな判断ができる人間なんていなかったさ」

「洋介さんって第1世代なんすか!?」

洋介はねこまんまをすするのを止め、同じ職場で働き初めて以来見せなかった興味を示した。

「まぁな」

「激レアっすね。まじっすか。確かに年齢的にはそうなるのか。あんまり考えた事もなかったな。『カナリアの叫び〜終わりのイニューエンド〜』で読んだっすけど、全世界で50万人しか子供が産まれなかったらしいすね」

「まぁな」

「洋介さんがアンニュイな感じなのも頷けるっす」

「まぁな」

洋介は残った定食を素早く口にかき込むと、ひと噛みひと噛みわざとらしく噛み締め、実にうまそうに喰った。私は洋介がまだ何か質問を続けるかと思ったが、それ以上の質問は無かった。どこか会話の流れが不自然な気もしたが、それこそが世代の違いなのだろうと納得して、私も黙々と定食を平らげることにした。

「ご馳走様っす」

「なんの。お前は奢りがいがあるよ」

定食屋ののれんを潜ると、ひび割れたアスファルトを太陽がジリジリと照りつけていた。車通りも疎らな閑静なこの街でも風は吹く、57番街に吹くあの風が。

ヒュイ

「洋介さん。太陽の野郎がまた性懲りもなく上がってますぜ。やっぱり素晴らしいっすね。この世界は」




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