プレシャスタイム
「思うに、両人の姿形や頭脳や資産や人間関係等々、これらが全て両人の記憶に基づく、純然たる信用情報である事にもはや疑いの余地はありませんが、これを論ずるにあたっても同じく両人の信用情報たり得るインディヴィジュアリティーに対するバリデーションが金輪際為されない以上、そしてそれらを観測する者が現在に至るまでの成り立ちにも同じ事が言えるとなると、事象の分別に留まらず、事象そのものにおける公平性は最早失われ、大地は割れ、海は枯れ、空は落ち、人々は嘆き地を這い、そして古の神々が天より飛来し、世界に終わりを告げるものになると考えるのですが、これが馬鹿げた懐疑主義であると宣う神々が我々を構成する分子の未来に於ける座標を裏付けようが付けまいが、猿とシェイクスピアの関係が否定されることも肯定されることもなく永久にそこにあり続けるという事すら、そして私の理性の一欠けらすらをカチリとはめる型枠など何処にも存在しないのです。つまり…」
「ぐわらぐわら!!アナルグマよ!きさんとも在ろう者が臆病風にでも吹かれおったか!ぐわらぐわら!」
アナルグマ「お、お前は…銀閣!」
銀閣「ぐふふ…ややこしい事を申しておるようだがアナルグマよ、わしは朝の紅茶に砂糖をドバドバ入れるのが好きなのだ。そして、だが、今朝の紅茶は特別なフレーバーティーであった。それで…」
アナルグマ「砂糖は控えた。」
銀閣「砂糖は控えた。そうだ。きさんは今砂糖は控えた。と申したな?その通りだ。わしのことをよく、判っておるようじゃのう?」
アナルグマ「下らない。あなたは特別、わかりやすいのです。」
銀閣「特別…と言ったな、アナルグマ」
アナルグマ「ふん、それがどうし…何ッ!!」
ビュオオオオオオオオオオ!!!
銀閣「わしの瓢箪は禁止ワードに反応し漏れなく吸い込むぞ!ぐわらぐわら!!もらったぞアナルグマよ!」
ビュオオオオオオオ!!
アナルグマ「ぎぃぃぃんかくうぅぅぅぅ!!」
銀閣「ぐわらぐわら!!」
「解析破壊(Cyclops Killing)」
銀閣「むっ、風が…!」
ビュオオオオォォゥゥゥ……
銀閣「何者じゃ!」
「私は反復横跳びマン」
銀閣「反復横跳びマンじゃと!」
反復横跳びマン「ふんっ!ふっ!ハッ!ヨッ!ふんっほっ!ハッハッハッ!ヨッヨッホイッ!サッフンッ!」
アナルグマ(…………)
反復横跳びマン「ハッ!セイッフッホッヨッ…」
銀閣「わしは砂糖たっぷりの紅茶とお手製のビスケットを並べ、ゆったりと午前中を過ごすのだ。お前がどうでもよい事をつらつらと並べとる間にの。そして昼寝をする。畳四つ分は優に超えるふかふかのソファの上には動物のぬいぐるみが沢山敷き詰められておる。アリクイ、イルカ、ウミガメ、エリマキトカゲ、オオアリクイ、カンガルー、キリン…皆わしの大切な仲間たちだ。彼らの名前を1つずつ呼ぶ内、2時間、3時間、気付けば日は傾きかかっておる。日陰を涼しく歩けるようになる頃、わしは買い物に出かけるのだ。酒とつまみを買い、インスタント食品を買い、少し健康に気を使っているふりをしてサラダのパックを買うのだ。トボトボと帰る頃に太陽は隠れ、薄らと青い空には黒い雲の影が浮かんでおる。そんな景色の写真を撮ったり、撮った写真をsnsに載せて気になる子のイイネを楽しみにしながら家に帰るのだ。そして酒以外を全て冷蔵庫に押し込み、結局ピザを注文するのだ。youtubeを眺め、ソシャゲの周回をしながらピザを食っているといつしか眠気に襲われ、大切な仲間たちにわしはいざなわれる。」
アナルグマ「最低だ。信じられない。そこまで無駄で堕落した時間が世の中に存在するなんて」
銀閣「無駄ではない。無駄ではないのだ、アナルグマよ。わしはこれを贅沢と呼んでいる。無駄と贅沢は同義なのだ。そして我々の目的はいつだってそこに収束されるのだ。」
アナルグマ「いいえ銀閣、断じてそれは贅沢ではない。無駄なことです。如何にも度が過ぎる消費を贅沢と呼ぶことはありますが、あなたのそれはただ単に老いを享受しているに過ぎない。前にも後ろにも進まない時間は総じて無駄と呼ぶのです。これらはしっかりと、区別すべきだ。」
銀閣「しっかりと、くべつ…と言ったな、アナルグマ」
アナルグマ「ふん、それがどうし…何ッ!!」
ビュオオオオオオオオオオオ!!!
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