my angle


ぼくのてんし




ぼくの、てんし


てんし


ぼくの


てんし


ぼく…の、てんし…








「…最悪。なんでおれが」


開けられた玄関の中から漂ってきた香りは、僕の大好きな香りだった。
酒に酔ってなにがなんだか分からなくなっても、大好きな匂いにつられて彼に引っ付いてきたんだ。


「…ディエイトだろ普通」


けれど大好きな彼からは怒っている声がする。
僕が引っ付いてきたのが嫌だったんだきっと。


「ジュナ、聞こえてる?お前が離れないからこんなことに…」 


薄らと瞳を開いてみると、綺麗な眉が歪んでいるのが見えた。

…怒ってる…ハニヒョン……


彼は文句を言いながらも、僕を寝室のベッドへと寝かせてくれた。
自分より身体の大きい僕の靴や上着を脱がせたり、ベッドに寝かせるのだって大変だったと思うけれど、文句を言いながらも彼は優しかった。

ベッドに寝かせられた僕はまたうっすらと目を開け、好きな人を見上げる。
するとハニヒョンは、僕の額に手を当て汗を拭ってくれた。


「熱い?寒い?」


返事の代わりに僕は、力の抜けていた腕を彼の方へ伸ばした。
その腕の行方を不思議そうに目で追う彼が可愛らしくて。僕は笑みをこぼしながら、彼の頬を手のひらで覆った。


「…なにヘラヘラしてんだ」


そう言って顔を避けられ、立ち上がったから
きっと僕を一人置いて寝室から出て行ってしまうんだと悲しくなって、咄嗟に手首を掴んだ。

細くて、白くて

折れてしまいそうな手首を。



「……なに?」

「…ぼく……」

「…」

「…ぼくの……てん…し…」

「……は…」


貴方は僕の天使

僕は貴方に出会ったあの日、生まれて初めて運命を信じたんだよ

僕の目の前に

舞い降りてきてくれた

貴方は


「僕の、天使」

「……酔ってる」

「僕のものになって」

「……なんて言った?」

「僕のものに、なって…ハニヒョン」

「……どういう意味だよ」


欲しい…全部

具体的にどんなことをしたら、彼の全てが手に入るのかは分からないから、試させて…

だから僕は彼に引っ付いてきたんだ


「……っちょ、」


折れそうな腕を引いて


「…ジュ、…っなに…」


華奢な身体の上に跨って


「……やめろよ…怒るぞ」


いつも見えない部分を見せて…

きっととっても

とっても…綺麗なんだろうな


「今だけで…いい」

「……」

「…今だけ我慢して」

「……」

「そしたら僕…もう諦められるから…」


信じた運命を一度でいいから証明させて欲しい

きっともうこれから先、死ぬまで出会うことのない

たった一人の僕の天使


「…っやだ…、ァッ」


あなたは 


ぼくの、


てんし




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