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「それより何で原宿集合なんですか?」
「本人がここがいいって」
「アレ食いたい!!ポップコーン!!」
「蘭もポップコーン!あとクレープも」
「え!じゃあ俺もクレープ追加で!金足りっかな〜」
虎杖と蘭の2人は原宿の竹下通りを歩きながら目を輝かせた。一方は大都会の雰囲気に。また一方は食べ物に。
本来の目的忘れてるだろと言いたげな伏黒はサッと懐から万札を取り出し2人に渡す五条を見てコイツもか…と頭を抱えた。
「んっ 悟、いちごチョコ美味しい。食べる?」
「え 食べる!(蘭ちゃんと間接キッス!!)」
「あーん」
「あーん!――うん、このクレープは五つ星レストランのどの料理より美味しいね!」
グッと親指を立ててそう言った五条に蘭も笑顔を浮かべ五条と同じくスッと親指を立てた。
「!?!ちょ、かっわ、ヴッ」
「え、五条先生どったの!?どっか具合悪い!?」
「いい、放っておけ虎杖 いつもの事だ」
鼻や口のまわりにクリームをつけながら自分の真似をして親指を立てニコッと笑った蘭を見た五条は心臓辺りに手を当ててその場に蹲った。
(ちなみに五条が持っていたチョコバナナのクレープをしっかり死守した蘭はそちらの方もモグモグと味見して顔を綻ばせている)
そんな五条を見ていた虎杖は彼を心配するが伏黒はしらーっとした顔で歩みを進める。
もう勝手にやってろ。それが伏黒の心の叫びだった。
「ちょっといいですかー?」
「?」
「自分こういう者ですけど お姉さんモデルのお仕事とか興味ない?お姉さんなら直ぐにでも芸能デビューできちゃうんだけど」
「はいストォーップ!そういう話はまず夫の僕を通してからしてもらおうか。え?なに?芸能デビュー?そんなのしちゃったら一瞬で世の男共が蘭ちゃんの虜になっちゃう事間違い無しだよね、うん。よってこの話は無し!却下!断固拒否!はい終了」
「え、ちょっ!話だけでもぉおおお!?」
「ちょっ、何一般人に術式使ってるんですか五条先生!」
ズズズ…と前を向いたまま後退していくスカウトマンを見た伏黒はついにやりやがった、という表情で五条を見た。
ていうかこの人さっきまで心臓押さえて蹲ってなかったか。
「何かわかんねーけど先生落ち着けって!こんな人が多いとこで呪術師ってバレたら色々まずいんでしょ!?」
「虎杖の言う通りです こんな事で一般人に術式使わないで下さい!」
虎杖と伏黒の必死の説得に五条は駄々をこねる子供のように口を尖らせて言った。
「えー だってコイツ僕の蘭ちゃんを世の性欲にまみれた薄汚い男共の見世物にしようとしたじゃん」
こんなとこじゃなきゃ危うく領域展開しちゃうとこだったよ!という五条に今回ばかりは流石に頭が追いつかない伏黒である。
そもそもこの男、芸能界にそんな偏見を持ってたのかとも思った伏黒だが、ひとまず五条の術式を解かせるのが先だ。
伏黒は一歩離れたところで我関せずといった様子でクレープを食べ続ける蘭の腕を引き寄せ五条の暴走を止めさせるのであった。
――――――――――――
「釘崎野薔薇。喜べ男子 超絶美少女と夢の同クラシュチエーションよ」
どん、と効果音がつきそうな程堂々とした佇まいで(色々ツッコミどころのある)自己紹介をした彼女こそ呪術高専四人目の一年生・釘崎野薔薇だ。ちなみに五条が追い払ったスカウトマンの肩を引っ掴んで「私は?」と詰め寄った挙句逃げられるという中々にインパクトのある女子生徒である。
「俺 虎杖悠仁。仙台から」
「伏黒恵」
男共の実にシンプルな自己紹介返しに釘崎はじとーと品定めをするような目で彼らを見た。
「(見るからにイモ臭い…絶対ガキの頃ハナクソ食ってたタイプね)」
「(名前だけって…私偉そうな男って無理 きっと重油まみれのカモメに火をつけたりするんだわ)」
ちなみにハナクソの下りが虎杖で重油まみれのカモメが伏黒である。全くもって酷い偏見だ。釘崎は盛大なため息を吐きつつやれやれと頭を振った。
「私ってつくづく環境に恵まれないのね――ん?」
釘崎の視界の端、趣味の悪い目隠しノッポの影から何かがひょこっと動いた。
「王城蘭 野薔薇、よろしく」
「は?」
「?」
「(え、何聞いてないわよこんな美少女がいるなんて。ハァ嫌ね。生まれた時から勝ち組ですみたいな顔しちゃって。これは苦労を知らない甘ちゃん女の顔だわ)」
釘崎は蘭の日本人離れした容姿に驚きつつも彼らと同様に彼女に対してもきちんと心の内で毒を吐く。しかし一つ気になる点があるとすれば――
「(――てかさっきから後ろでニヤニヤしてるコイツは一体何?犯罪者予備軍かしら?)」
そう。五条だ。釘崎は何故か彼女の後ろで温かい目(実際目は見えないが)をしている五条を見てあからさまに顔を歪めた。そういえばこの男、さっきのスカウトの時も阻止しようと異様に出しゃばってたような気がする。
「ちょっと 何ニヤニヤしてんのよ」
「ん?いやね、野薔薇と仲良くなりたいって気持ちが蘭ちゃんから滲み出てて可愛くてさ」