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「神宮寺、来てたのか」


いつも助けて欲しいときには必ず彼が現れる。一体何故なのかはわからないけれど、でも今は助けて欲しくても雑誌を見られてしまえば何もかもが終わってしまう


「ちょっとなまえに用があってね」

「何の用がある?」

「龍也さんには関係のないことさ」


レンは楽しそうに笑いながら私を見やる。まるで龍也さんの視線を誘うかのように...私は背中に隠した雑誌をギュっと握り締めた


「なまえどうした?」

「なっ、なんでもない...よ」

「そんなに泣きそうな面してんのに何でもないって言えんのか?」


事を楽しむかのように二人の表情を見ながらレンは薄ら笑う


(君が手に入るならどんなことだってするさ)


ここでレンの思惑に乗ってしまえばまた過去の自分に戻ることになる。それでも私は...今までの決心を捨ててでも龍也さんに知られたくないと思ってしまった。漸く気がつけた恋心に全てが崩れてしまった、知られるのが怖いんだ


「レンとは知り合いだって言ってたでしょ?少し昔話をしていただけなの」


泣き顔を隠して出来る限り明るく言う


「なまえとは色々な思い出があるからね」

彼の口角が上がったのがわかった。まるで"龍也さんが知らないなまえを知っている"とでも言っているように...それがどうしようもなく悔しい


「そう...だったのか」


龍也さんが言ったのと同時に、レンに腰を引かれる。私に拒否なんて許されないと空気で感じた


「おい神宮寺、その手を放せ」

「それは聞けないねぇ」


彼が何を考えているのかわからなくて、顔を見上げる


「レン、何して...」






「なまえは俺の大事な人だからね」





(今、昔も、俺だけのたった一人のなまえ...)