02

「ねぇレン、お腹すいた」

「すぐ用意させるよ」


気づけば彼女と出会って2週間が過ぎようとしていた。もともと学校なんてサボりがちで、別に行かなくとも支障はなかった。だから2週間の間、ずっとなまえと一緒に過ごしていた


「なまえ、昨日の話の続きは?」

「だから...あれが全てって言ったじゃない、もう隠すことなんてないわよ」


ようやく聞き出せたなまえの過去、親からの虐待、売女、男、愛情を知らずに生きてきた。色んな場面が自分と重なって見えた。まるで彼女の向こう側に自分も立っている錯覚を起こした、それだけで何故か安心したんだ、一人じゃないって


「そうかい、やっぱりなまえは俺とよく似ているよ」

「私はそうは思わないけど」

「寂しいくせに人に甘えることを嫌う。それから...傷つくのが怖くて、人から一歩置いている...違うかい?」

「...違わない。でも、私はレンみたいに本当は頼れる人がいるわけじゃない。それから...臆病じゃない」


"臆病"


その言葉がやたらと耳に残った。心臓を抉るような痛みに思わずなまえを睨みつけどうして?と言い返すので精一杯だった。そんな俺の様子に構うことなく彼女は淡々と言った


「レンが話したように、本当にこの家の中に存在価値というものが見当たらないのだとしたら、恐らくそれは見落としているだけ、いや、見ようともしていないのかもね」

「どういうことだい?」

「本当に気づいていないのなら、とっくに家を出ていたっておかしくないもの。だから臆病なのよ」


そうでしょ?と言いたげな瞳に飲み込まれ言葉が出ない。心の中を全て言い当てられた。どうして出会って間もない彼女に分かってしまうのだろうか


「...そう、かもね」


しばらくの沈黙の後、俺の口からでたのは肯定の言葉だった。いとも簡単に心の中に進入してきた#name2#、一日中一緒にいたってずっと彼女のことが気になって仕方ない。ねぇなまえ、きっと俺のこと気にしてくれるのも、理解してくれるのも、この先君だけなんだ





頬が冷たく濡れていた。俺の下にはなまえ、あぁ、抱いていたんだ。それも泣きながら、なんて惨めなんだろう


だけどいいんだ、なまえにならどんな姿を見られたって

俺ももっと君を理解するから



だから、、お願いだから、ずっと側にいて