03

なまえと出会って2ヶ月、学校にも行かず一日中べったりとくっついている日々。たまに嫌そうにされるけれど抵抗はない。抵抗されるといえば、彼女にたくさんの質問を投げかけたとき


「ねぇなまえ、レディにこんなこと聞くのは失礼かもしれないけど一体いくつなの?」

「レン、失礼だと思うのなら聞かないほうがいいんじゃない?」

「それなら何年生まれなのか教えてくれたらいいよ」

「言い方を変えただけで質問の意味は同じじゃない」


こんな具合に些細な抵抗。けれど夜になると毎日のように身体を重ねる。それも嫌がったりもしないんだ。けれどなまえから求めることもない。彼女の心の内を知ろうとすればするほど、なまえが俺から離れていくのがわかっていた。けれど彼女を知りたいという欲は一向に止まらないんだ





ふと過った


(あぁそうだ、君も誰かに甘えるの下手だったんだ)


彼女を自分だけのものにしたいあまりに忘れていた。なまえも俺と同じように誰かを必要としながらも、一人でいたい人間だったんだと。気づいたときにはもう遅かった、神宮寺家のパーティーで少しだけ俺が居ない隙に彼女は荷物もろとも消え去っていた



ぽっかりと空いてしまった穴は、思ったよりも大きくて何も手につかなかった。親代わりの兄に流されるままに学校を変えられて、無理矢理生かされて、また暫くしたら次は早乙女学園に入れだって?もう何だっていいんだ、彼女がいない世界なんてモノクロのつまらない劇と同じだ




やっと希望を見つけたのに...

どうして欲しいものは俺から離れていくんだ

母親も、父からの愛も...なまえも



なまえ、よく覚えていてね。次に君と会うことができたのなら、その時は今度こそ俺から離れられないようにしてあげるよ。


その寂しさをいつまでも分かり合えるようにね







END