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青空の綺麗な昼下がり、風が心地よく頬を撫でていく。こんなにも眠気を誘っているのか環境だけでなくなっちゃんが何度も読んでくれた本をまた読み聞かせてくれているから


「アリスはウサギを追いかけました、必死に走って走って...」

「なっちゃん、もうその話何回も聞いたよ」

「なまえちゃんはこのお話嫌いですか?」


しょんぼりとされると私が悪いことをしているみたいだ、心が痛い


「嫌いじゃないよ、続けて」

「はいっ、続き読みますね!」


嬉しそうにしているから、これでいいんだ。私はなっちゃんの声を子守唄に、後ろにある木に凭れ掛けうとうとと眠りにつく


幾分そうしていたのだろうか、隣を見ればなっちゃんも眠っていた。ふいに彼が手に持っていた本を取り、パラパラと捲る

「こんな世界にいけたら、楽しい...かな」





...だっ、...あわねぇっ!!




どこからか声が聞こえる、誰かいるのかと立ち上がるとよろめいて、木に手をつけるがそこには木がない


「えっ、きゃあぁっ!!」


木には深い窪みがあり下へ下へと深く続いていた、真っ逆さまに落ちていくなまえを止められるものは誰もいない











―ガタン


大きな音と共にクラスの目線が集中する


「みょうじ...」

「あ、すいませ...ん」


先生にジロリと睨まれ縮こまる。隣の席の翔ちゃんからはバーカと笑われちょっぴり腹立たしい



(なんだ、夢だったのか)