04

ウサギを探そうと草むらの中を行ったり来たり。気のせいかもしれないが、周りの草花が私よりも大きい気がする。いや、本当に


あっ、あんな所に猫...えっ!?


「レン!!」

「おやアリスじゃないか、どうしたんだい?」


アリス?レンは一体誰のことを言っているのだろうか


「私はなまえだよ!」

「今日は一段とおかしなアリスだね」


まぁ何だっていいや、とにかく今はあのウサギ翔ちゃんの行方を聞いてみないと


「翔ちゃん見なかった?」

「おチビちゃんならあっちに...」


レンが指した方向に走り出そうとすると「もしかしたらこっちだったかも」なんて惑わすことを言われる


「......。」


どこか可笑しそうにしているレンに少しだけ腹が立ったのは秘密だ


「もう、どっちなのよ!」

「アリス、おチビちゃんなんて放っておいてもっと俺とイイコトしないかい?」


ふんわりとした感覚に自分の身体を見ると、どこからか手が纏わりついていた


「さぁ、こっちにおいで」


レンの妖艶な笑顔に色んな意味で危険を感じて、無理矢理手を振りほどき走り出す。レンに見えなくなるまでずっと、ずっと...







―「レン、もうちょっと音上げてもいい?」


「うん、これくらいなら大丈夫さ」


レッスンも終わる頃、帰る用意をしていると何故かレンが近づいてくる


「なまえ、そろそろ恋のレッスンでも「さ、帰ろうか!!」」


真っ黒な笑顔で言えば口を噤んだ彼、全く、油断も隙もありゃしないんだから!


「部屋まで送るよ」

「春ちゃんが危ないので遠慮します」

「...」



ちょっとだけ泣きそうになっているけど気にしない