14
月宮先生に連れていかれた部屋には、たくさんのドレスが置いてあった。同じドレスでもサイズは子供用から大人まで、同じ型でも色は様々だったり、本当にものすごい量のドレス
「あの...ここは...」
「さ、アリス、お着替えしましょう!」
とても楽しそうな表情に私は何も言えず、されるがままだった。どのくらい時間が経ったのだろう、ドレスの試着はかれこれ17着目になろうとしている
「う〜ん、これもあとひとつ、何か足りないわねぇ...」
ウエスト部分に大きなリボンの付いた水色のスパンコール輝くとても可愛らしいドレス。はっきり言ってドレスに着せられている感が半端ない。月宮先生があーだこーだ言っているとき、ドアがノックされ開かれた。
「は〜い」と言って月宮先生が扉を開いてを迎え入れる。ふわりと香るバラの匂いは香水だろうか、なんだかとても懐かしくて心地よい
「アリス...何年ぶりかしらね」
目の前に現れた女の子は、鏡を見ているんじゃないかと思うほど自分とそっくりで思わず息を飲んだ
「あなたがなまえ王女...?」
「あら、忘れちゃったの?私のこと」
「そういえばトキ君がそんなこと言ってたわねぇ...」
「いいわアリス、私と二人で話しましょう」
にこやかだけれど、その声は拒否できないものだった。月宮先生がメイクだけ残ってるから、と言ったので王女は先に部屋で待っているみたい
「私...どうしたら...」
不安を吐いた声は誰にも届かなかった