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「はぁっ、はぁっ...なんで俺ばっかり...!」
「おつかれ、おチビちゃん」
ぽんっと肩を叩く猫に項垂れるウサギ、そうとう体力を持っていかれたようだった。当のアリスはというと、今も楽しそうに双子と遊んでいる
「ほらアリス、早く城の中に入りますよ」
「はぁい」
城の中に入るとメイドさんがやってきた
「あら、可愛い女の子!お名前は?」
「アリスって言うの!えっと...王女さまはどこですか?」
ちょっと待ってね、とメイドはどこかに連絡をした。すぐに返事は帰ってきたようで5人と別れて部屋へ案内してもらい、漸く王女の元へ辿り着いた。アリスの目の前には自分とよく似ている女の子がいた。恐る恐る話しかけると、彼女は微笑んだ
「いらっしゃいアリス...私はなまえ、よろしくね」
「なまえ...」
王女の名前を聞いたアリスは何とも言えない感覚に襲われた
―ソレハ ワタシノ ナマエ ...?
頭の中で何か言っている、正しいのか間違っているのかよくわからない、けれど言葉は止まらない
―ツライ ... ヤメテ ...
「アリス、貴方の名前を少しの間だけ借りるわね」
「どうして...?」
「貴方の辛いこと、私が全部受け止めてあげる...だから、もう泣かないで」
王女の言うことは、幼いアリスには理解できなかった。だが真っ直ぐに目を見られて、心の中から何か抜けていく感覚に"うん"と頷いた
「もう大丈夫よアリス、ここには怖いものなんていないから」
王女に抱きしめられると、何故か涙は止まらなく溢れてきて、しゃくりあげるように声が枯れるまで泣いた