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「なまえ...今まで一人でずっと背負ってくれてたんだね、ごめんね」
泣き止んだアリスが王女に言った
「いいの、これで私達の役目は終わったのだから...なまえ」
「っ...」
いきなり呼ばれた自分の名にハッとする。慣れてしまっていたけれど、アリスは私の本当の名前ではない、私はなまえだったんだ
「漸く貴方に名前を返せる時が来たわ」
「それってどういう...?」
王女は寂しげに微笑んで、言葉を選ぶように口にした
「この世界は貴方が作り出したものなの。だから貴方がアリスでなくなった時、つまり過去を思い出して乗り越えたらこの世界は消えてしまうのよ」
「そんなのダメッ...!どうして消えなくちゃいけないの...このまま世界が続くことはできないのっ!?」
勝手に私に作られて、勝手に私によって消されて...、そんなことしていいはずがない。
「続くこともできるわ...けれど」
「方法はっ!?」
「なまえ、貴方がこの世界に残ることよ」
表情を消した王女を目の前に、遠くから私を呼ぶ声が聞こえる
―「...なまえっ!早く戻って来い!」
「みんな心配してるのよ!」
「みんなでまた歌いたいです」
「お前がいないと、つまらないだろう」
早く帰らなくちゃ、私には待っている人がいるから
そう思うのにこの世界が在り続けてほしいと思う
ねぇ、どうしたらいいの...?