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漸く泣き止んだ私に、気を利かせて春ちゃんだけが保健室に残り、他のみんなには外で待ってもらっていた
「なまえちゃん、お帰りなさい」
「春ちゃん...私ね、」
「みんな知っていますよ、なまえちゃんの夢」
「えっ...どうして」
学園長が...と苦笑いをして事の成り行きを教えてくれた。あの人、本当に何でもやっちゃうんだなと関心しているところを、春ちゃんの言葉で意識を戻す
「なまえちゃんだけ辛いことを抱えなくていいんですよ。私も、みなさんも、なまえちゃんのいた世界のこと、ちゃんと覚えています、だから...」
― バンッ
と春ちゃんの言葉を遮るように保健室の扉が開かれる
「そうだよ、なまえだけに辛い思いなんてさせないよ!」
「私達にも頼ってください」
「あぁ、俺たちは仲間だからな」
「聖川だけにいい格好はさせないよ」
「ったく、お前だけじゃ心配だからな」
「みんなで乗り越えましょう」
口々に話し出す彼らに、胸の奥から温かくなる。ふと扉の向こうを見ると、苦笑いをした先生達。どうやらみんなを止められなかったらしい
「みんななまえのことが心配だったのデス」
セシルの言葉に春ちゃんと顔を見合わせると、どちらからともなく笑い出す。その様子のついていけないみんなの顔がキョトンとしていて、更に可笑しくなって止まらない
「あははっ...みんなっ、ありがとう!!」
笑って出てきた涙を拭って、みんなの顔をみて言う
「私ね、みんながいたらなんだって出来る気がする。辛いことも悲しいことも、ぜーんぶ乗り越えていけるって、根拠はないけどそう思えるんだ!」
「なまえちゃん...!」
「だって私は一人じゃないから...」
だから泣いてちゃダメなんだ、いっぱい笑わなきゃ
心の中に住んでいるみんなのためにも
「私、みんなのこと大好きっ!」
―ありがとう