ペンギンから見た二人


おれから見たら、二人は両片想いってやつだ。
二人っていうのは、もちろん船長となまえ。

でも、たまに分からなくなる。

今だってそうだ。

上座で静かに酒を飲んでいる船長は、クルーの誰かが呼んだ娼婦たちに興味を示してはいない。けれど別に近寄るなとか触れるなとか言うわけでもなく、好きにさせている。

船長から離れたところにいるなまえの方を見れば、何故か両隣に娼婦を侍らせて楽しそうに飲んでいる。
「おねーさん美人だね−!うちの船までお持ち帰りしたいくらい!」って…なんだあいつ。何処のおっさんだよ。

おれが言うのもなんだけど、女は嫌なんじゃねえのか?こういうの。
嫉妬したりしねえのかよ。いいのか?

「ん?なーに、ペンギン」

「…なにが」

「なにがって…見てたでしょ、今」

「別に、楽しそうだなと思っただけだよ」

「うははは!そりゃあ楽しいよ。おいしいご飯にお酒があって、みんなもいる!楽しくないわけないじゃん」

そいつは嬉しい言葉だな。けど、歯を見せて笑っているその顔は本当にそう思ってる顔なのか?

「なに、ペンギンは楽しくないの?」

「楽しくないわけじゃねえけど…」

「けど?」

「お前、気にならないのか?」

ちらりと娼婦たちを視線で指す。
なまえは一瞬首を傾げたが、ああ、と納得した顔をした。

「別に気にならないよ。おねーさんたち悪い人じゃないし。わたしにも構ってくれるし」

「なら、いい」

「ふふっ、ペンギンって優しいね」

「はっ!?なんだよ気持ち悪いな!」

「ひどっ!…だってさ、あの人たちとはすぐにさよならじゃん」

「まぁ、そうだな」

「例え嫌なことされても、ずっと一緒にいるわけじゃない。だからいちいち気にしたりしないよ」

そこで、なまえがこの宴の席に来てから初めて船長の方を見た。
さっき見せたガキっぽい笑顔でも、嫉妬に歪んだ顔でもない。

目を細めて船長を見るその顔は、とても妖艶に、静かに微笑んでいた。

いつもシャチをからかったりベポと昼寝したりおれと釣りをしたり。
そんないつものなまえとはまったく違う、不覚にも見惚れてしまうような…女の、表情。

「マジで好きなんだな」

「え?ああ、うん。好きだよ、みんなと宴するの」

「(そっちじゃねえよ、バカ)」

わざと言ってんのか、マジなのか。
本当のとこどっちなのかおれには分からねえが、酒瓶を持ってジャンバールの方へ絡みに行くその小さな背中を見ていたのはおれだけじゃない。

そのことになまえが気付くのは、いったいいつになるのやら。

でもまぁ、それは船長も同じだが。

ほんと不器用だな、おれの大切な二人は。



end




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