燭台切と酒盛を眺める
「ゆーきみざけだーいっ!」
「次郎ちゃんテンション高いなぁ…みんな寒くないのかな、雪降ってるのに庭で酒盛なんて」
「もう随分飲んでいるみたいだから、むしろ丁度いいくらいなんじゃないかな。ほら、主。おしるこだよ。熱いからゆっくり召し上がれ」
「わぁ、甘い匂いがすると思ったら…おしるこ!あったかぁあい…っ!」
「長谷部くんがね、主が縁側で庭を眺めて離れないから何か温かいものを、って。僕に頼んできたんだ」
「う…っ、説得の嵐が止んでなんやかんやあったかいものを用意してくれてるとは思ってたけど…いつの間に燭台切のところにまで行ってたんだね…」
「流石の機動力だよねえ」
「いや、うん、まぁ…。今、毛布取りに行ってるみたいだから、戻って来たらお礼言っとく…。燭台切も、ありがとうね」
「どういたしまして。…でも、主は酒盛に参加しているわけでもないのに、どうしてずっと縁側にいるんだい?長谷部くんじゃないけど、そろそろ部屋に戻った方がいいんじゃないかな」
「んん…、もうちょっとだけ。…確かに寒いんだけどさ、楽しいんだ。みんなをこうして見ているのが」
「どうせなら主も混ざって来たらいいのに。みんなも喜ぶよ」
「ダメだよ。お酒飲めない奴なんかが行ったら、みんな盛り下がっちゃう。…あともう少し、ね」
「成人の儀、ってやつか。それじゃあ、現世での式が終わったら、ここでお祝いしよう。みんな一緒に、ね」
「ふふっ、ありがと。…おしるこおいしー。あったまる〜…!」
「(キミにはお酒よりおしるこが似合う、なんて言ったら…怒るかなぁ…)」
キミがキミでなくなるわけではないけれど。
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